静岡県清水町長 関 義弘
清水町は、静岡県の東部、伊豆半島の付け根に位置する、自然豊かな町です。西には黄瀬川、南には狩野川、そして町の中央部には、私たちの誇りである柿田川が清らかに流れています。面積は8.81km²と、静岡県内で最も小さい自治体でありながら、県内一の人口密度を誇り、コンパクトな町域に大型商業施設や医療施設、生活利便施設が充実しています。国道1号や東名・新東名高速道路へのアクセスも良好であることから、民間調査で「住み続けたい街ランキング」静岡県内1位を獲得するなど、多くの皆さまに「くらしやすさ」を実感していただいております。
町の中心に位置する「柿田川」は、富士山周辺で降った雨や雪解け水が、長い年月をかけて地下を流れて湧き出したもので、湧水を水源とする全国でも珍しい川です。長さ1.2kmと日本で最も短い一級河川でありながら、湧き間の数は100カ所を超えるとも言われ、1日約110万m³もの水が湧き出ています。水温は年間を通じて15度前後と安定し、その清らかな水は、飲料水として3市2町に給水されているほか、工業用水、農業用水としても利用され、多くの人々の暮らしを支えています。柿田川は、1985年に「日本名水百選」に選ばれたのをはじめ、2011年には「国指定天然記念物」、2018年には「伊豆半島ユネスコ世界ジオパーク」に認定されるなど、その価値は国内外に広く認められています。町の鳥であるカワセミ、遡上するアユ、ミシマバイカモ、アオハダトンボなど、貴重な動植物の宝庫でもあり、柿田川はまさに、清水町のアイデンティティと言える存在です。
その柿田川の保護・保全と、町民の皆さまのコミュニティ広場の確保を目的に開園した柿田川公園が、今年、開園40周年を迎えます。1986年4月の開園式では、歌人・若山牧水の長男旅人氏が幼い頃の川遊びの思い出を語り、牧水の高弟である大悟法利雄氏の歌碑の除幕式も行われました。以来40年間、広場でお弁当を広げる家族連れや、ゆったりと園内を散策されるご高齢のご夫婦など、多くの世代の方々に親しまれてまいりました。園内には2カ所の展望台があり、湧き間を間近に見ることができますが、特に第二展望台から見える「ブルーホール」と呼ばれるコバルトブルーの湧き間は、季節や時間帯によって表情を変える、息をのむような美しさです。また、現在の柿田川公園の場所には、かつて泉頭城という城があった歴史も持ち、徳川家康が隠居場所として考えていたという逸話も残されています。柿田川の恵みに感謝し、きれいな川を大切にしようという意識向上の場として、1983年から続く「湧水まつり」の第1回が、開園を前に予定地で開催されたことも、公園が町にとってどれほど大切な存在であるかを物語っています。
2024年からは、清水町商工会を中心に「清水町こうじプロジェクト」が立ち上げられております。町の特産品のひとつである「麹」の歴史は、江戸時代中期にまで遡り、京都からこの地を訪れた一人の旅の僧侶が、宿を提供してくれた清水町の人々へのお礼として、麹製造の秘伝を伝授したのが始まりと伝えられています。良質な麹をつくるためには水が不可欠であり、名水百選にも選ばれた清らかな伏流水である柿田川のあるわが町では、最盛期には、「室屋(ムロヤ)」と呼ばれる麹製造業者が7軒も軒を連ね、さらに、製造された麹を各家庭に届け、その文化を支えた「ウリコ」と呼ばれる専門の販売者が約80人もいたと記録されています。「清水町こうじプロジェクト」は、柿田川の恵みと先人の知恵が詰まった清水町の麹文化を継承し、現代のライフスタイルに合わせた新たな価値を創造し、未来へとつないでいくための官民連携の挑戦です。この新たな試みに対し、町長として、並々ならぬ情熱と期待を抱いております。
私が清水町政を預かる上で、最も大切にしているのが、『笑街健幸(しょうがいけんこう)のまちづくり』です。この『笑街健幸』という言葉には、「笑顔があふれ、いつまでも健康で活躍できることは、個人にとっても、街にとっても、とても幸せなことである」という意味を込めております。
人生100年時代と言われる現代において、町民の皆さまお一人お一人が、生涯にわたって健やかに、そして生きがいを持って働き、暮らせるまちを実現したい。そんな強い思いが、この政策の柱には込められております。
柿田川がもたらす豊かな恵みと、この清水町が誇る「くらしやすさ」を最大限に活かし、町民一人一人が心からの笑顔で、健康に、そして生きがいを持って活躍できる町をめざしてまいります。そのためには、地域医療の充実、子育て支援の強化、障害のある方も高齢者の皆さまも安心して暮らせる環境づくり、そして誰もが学び、働き続けられる機会の創出など、多岐にわたる施策を着実に推進していく所存です。
柿田川公園開園40周年という節目を迎え、これまでの歩みに感謝しつつ、未来へ向けて、町民の皆さまと共に、さらに魅力あふれる清水町を創造してまいります。