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創造的過疎の町づくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年6月1日更新

鳥取県日南町長 中村 英明鳥取県日南町長 中村 英明
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 日南町は、鳥取県南西部の内陸に位置し、島根県、岡山県、広島県と隣接しています。中国山地の中央部にあり、鳥取県西部を流れる一級河川・日野川の源流域でもあります。準高冷地気候で、面積は約340km²、人口は約3,700人です。町の約90%を森林が占め、第一産業を基盤として、おいしい米やトマトなどが高い評価を得ています。令和8年3月3日には不二家のミルキーより「トマト大好き・日南トマト味」が期間限定で全国発売されました。食料自給率は約400%に達しています。林業においては循環型林業を基軸とし、持続可能な発展をめざしています。

 平成の大合併においては、平成15年2月に「単独自立宣言」を行い、平成18年には旧中学校単位で7つの地域に「まちづくり協議会」を設立しました。これにより、各地域の自主性を尊重し、自立をめざす「みんなが元気に暮らせる地域」を作る組織が立ち上がりました。また、鳥取大学との連携協定に基づく町の活性化の取組もスタートしてから20年が経過しています。

 平成20年には、「日本の30年先を行く町」を自覚し、「30年後の日南町の姿プロジェクト」を立ち上げ、事業の推進を図りました。また日南町は、昭和の文豪・井上靖や松本清張ゆかりの地としても知られています。

 私は日南町で生まれ育ち、行政マンとして就職した後、50歳で一度退職し、その後副町長を経て、現在の職に就いています。このような経歴は町内では異例のものかもしれません。

 最大の課題は、人口減少と高齢化です。これに伴い、社会基盤の喪失やインフラ整備に係る費用の増加が懸念されています。これらの課題に対して、行財政改革計画や総合戦略、公共施設整備計画、中心地域整備計画を策定し、財政規律を守りながら地方創生に挑んでいます。広大な面積を持つ本町では、点在する家屋により「コンパクトビレッジ」の考え方を中心に据え、それらをつなぐ公共交通網の整備を進めています。

 現在は「人への投資」と「資源活用」を柱に、持続可能なまちづくりをめざしています。本町は「SDGs未来都市」に選定され、「ゼロカーボンシティ宣言」と「オーガニック宣言」を行っています。また、森林由来のJクレジット制度を活用し、地方銀行の仲介のもと、延べ約430社・累計1万トンの契約を締結し、多くの民間企業の支援を得ています。得られた収益は植林の苗代金として活用され、年間50ヘクタールの皆伐や新植事業を進めています。新植率は100%に達しており、地球温暖化防止や水源涵養など、自然資本の価値向上に大きく寄与しています。

 人への投資では、17年間継続している農業研修制度をさらに推進し、現在25名の方が稲作やトマト・野菜生産に就農しています。また、全国唯一の町営林業アカデミーを開設し、7年間で67名の卒業生を輩出し、そのうち20名(30%)が町内で就職し、57%以上が県内で林業に従事しています。教育や子育て支援にも注力しており、国際交流員を採用し、就学前のこどもたちとの交流を深めるとともに、児童・生徒には米国シアトルとの交流事業や英語検定の助成を行い、グローバル人材の育成を進めています。これらの取組が評価され、宝島社の「田舎暮らし・住みたい田舎ランキング1万人未満」の部門で総合7位を獲得しました。

 また、人口減少が進む中で、経済循環を高めるため、地域通貨「たったもカード」を4年前から導入し、町商工会と連携しています。昨年末でカードの利用総額は約13億円に達し、町民から高い評価を受けています。

 今後も第一産業を元気にして、自然資本の活用、経済循環の促進、人への投資を継続し、町民が生き生きと生活できるウェルビーイングを高めていけるよう、町民総活躍の創造的な過疎の町づくりに挑戦していきます。これからもどうぞご指導をお願いします。