福島県下郷町長 星 學
下郷町は、福島県の西南、南会津地方の東端の山間部、阿賀川(大川)流域に位置し、317.04km²の広大な面積を有しています。近隣50km圏内には、県内の中核都市が存在しており、中でも南会津郡の中心である南会津町や北に隣接する会津若松市とのつながりが強く、近年では国道289号線の開通によって、白河市方面との関わりが出てきています。
周囲は標高2,000m級の那須山系などの山々に囲まれ、町のほぼ中央を阿賀川が北に流れています。町の南東部は日光国立公園、また、北東部は大川羽鳥県立自然公園に指定されており、日本海側の気候に属し、冬期間は町の中心部で約30cm、山間部では1m以上の豪雪地帯でもあります。このような昼夜の寒暖が大きい気候をいかした風味豊かな「そば」、会津地方にのみ生息する固有種である「会津地鶏」の他「じゅうねん」などが特産となっております。
江戸時代に会津と日光を結ぶ宿場町として栄えた大内宿は、1981年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、今では国内外からの多くの観光客が訪れ県内有数の観光地となっております。また、100万年もの歳月をかけて浸食された奇岩群「塔のへつり」もその歴史と神秘的な景観から国の天然記念物に指定され、訪れる人を魅了しています。さらに、阿賀川の渓谷美、四季折々の美しい山里の風景や湯量豊富な湯野上温泉など、多くの観光資源に恵まれた町でもあります。
当町は、本年、町制施行70周年の節目の年を迎えました。飛躍的に発展したこれまでの下郷町の70年のあゆみは、先人諸賢の偉業もさることながら町民、一人ひとりの熱意により、教育文化、観光、産業経済、道路交通網の各方面にわたり、大きな繁栄と進展を遂げてまいりました。誕生から70年、社会情勢は高度経済成長と急速な地域開発が推し進められ、その中で下郷町も道路交通網の整備をはじめ、農業振興、そして観光資源の開発など着々と整備促進が進められてきました。
その一方、近年の急速な少子高齢化やデジタル化社会への変革、東日本大震災・原子力災害からの復興、復旧、風評被害の払拭、国内外が未曾有の危機に直面した新型コロナウイルス感染症からの経済活動、地球規模の気候変動や近年頻発している自然災害など、かつての先人たちが経験したことのない時代の大きな転換期に直面しています。また住民ニーズに対する行政課題も複雑化、多様化の傾向にあり、行政運営はますます厳しいものとなっております。
これら数多くの課題に柔軟に対応しながら、今、当町は、新たな創生へ向けた取組を推進し、「魅力溢れる未来へつなぐまち下郷」をめざし、次の世代を担う子どもたちにとって、ふるさとである下郷が夢や希望に満ち溢れた未来を描ける場所になるよう、国・県・関係機関、町議会をはじめ町民が一丸となって町づくりに全力で取り組んでおります。
その中において、現在整備が進んでいる会津縦貫南道路は、同じ地域高規格道路計画路線の会津縦貫北道路とともに、栃木県西部・会津路を結ぶ高速交通路線であります。この会津縦貫道路を縦軸とし、新潟県からいわき市へ、言い換えれば、日本海から太平洋へ延びる国道の整備が進めば、この国道を横軸とした場合、当町が縦軸と横軸が交わる交通の要となり得ると考えております。
現在当町は全国的な課題である少子高齢化が進む町でありますが、県内有数の観光地に恵まれ、年間観光入れ込み客数は100万人以上であり、多くの可能性を秘めた町でもあります。これは、今後の当町がめざす方向性として大変重要なことであり、このことを視野に入れた施策が必要になると思われます。
この度の町制施行70周年を新たな飛躍の年と位置づけ、先人たちがこれまで築き上げた優れた業績と貴重な文化遺産を糧とし、町民と全国に誇れる魅力ある下郷町を築き上げていきます。
今後とも皆さま方のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。