青森県大鰐町長 山田 年伸
私の生まれ育ったここ大鰐町は、青森県津軽地方の南端に位置しており、豊かな自然と緑に恵まれ、古い伝統の中に新しい施設を建設し、津軽の奥座敷として四季折々の美しさを満喫できる町です。県都青森市から50km、北側は弘前市、南側は秋田県大館市に接しています。スキーと温泉、観光を主体とした町ですが、基幹産業は農業であり、農業生産額の8割はりんごです。山間部の園地で栽培され「高原りんご」と言われており、実がしまり食味もよく、品評会で農林水産大臣賞を受賞しております。しかし、人口減少の影響で後継者不足から離農する方が多くなっております。そこで町では、りんご栽培のほか、農業経営者の確保策としてトマト栽培を推奨しています。今ではトマト専業農家が50戸ほどあり、トマト生産額も3億円前後となり、一大生産品目となっております。
さて、表題にあるスキーですが、本町の中心にある大鰐温泉スキー場は、百年の歴史があります。全日本学生スキー選手権大会(インカレ)の記念すべき第1回大会が昭和3(1928)年に本町で開催されて以来、今回で11回目となる第98回大会を令和7年2月に開催することができました。また、これまで国際大会をはじめ数々の全国規模の大会を開催してきた全国でも有数のスキー場として名を馳せており、令和8年2月には国スポの冬季スキー大会の開催も決定しております。
話は変わりますが、本町「大鰐温泉郷」は、開湯800年の歴史があり、全国から多くの観光客が訪れております。近年ではインバウンド客も多くなっております。町中心部のJR大鰐温泉駅近くには、町のランドマークである「地域交流センター鰐come(ワニカム)」があります。日帰り入浴施設として、町内外から年間15万人ほどご利用いただいております。また、温泉熱と温泉水のみを用いる温泉の町ならではの独特の栽培方法による、古くから伝わる幻の冬野菜「大鰐温泉もやし」があります。独特の芳香とシャキシャキとした歯ざわり、味の良さ、品質の高さで人気が高い町自慢の味です。なお、このもやしに使われる「小八豆(こはちまめ)」は、地域在来種で門外不出の貴重な豆のため、大量生産ができず希少価値が高いものとなっております。本町においでくださる機会がありましたら、ぜひご賞味いただければと思います。
さて、私は昭和27年、この地に生を受け、地元の小・中学校を卒業し、青森県立弘前南高校を卒業後、千葉商科大学に入学しましたが、家庭の事情から2年で中退し、父の経営する山田商会(ガソリンスタンド)に入社。商売の楽しさ・厳しさを感じながら社会生活を送っていました。また、仲間から商工会青年部に誘われ入会し、当時20名くらいの会員とともに、町で開催する「つつじまつり」「ねぷたまつり」等のイベント支援や、青年部主催の盆踊りや高原祭り等を開催し、地域活性化のため頑張っていました。そのような中、近隣町村の商工会との交流を通じて、他町村での商工会への補助金額に倍以上の格差があることを知って驚き、町がリゾート開発企業には莫大な補助金を出しているのに地域振興に努力している商工会への補助は大変少なく、地域間での格差がありすぎると感じました。行政に対して正さなくてはならないとの思いから、政治家を志し町議会議員選挙に立候補したのが平成3年、38歳の時でした。それから4期16年間、町議会議員を務めました。平成20年、財政健全化団体に陥り、このままでは町は破綻してしまうとの思いから、平成22年の町長選挙に立候補し当選。町民の皆さまの想いを受け、速やかに財政改革に取り組み、一期目で健全化基準をクリアすることができました。現在4期目を務めておりますが、町の財政状況も安定してきており、住民サービスの充実、住みたい・住み続けたいと思える安全で安心な暮らしのできる町づくりをめざし、日夜頑張っている今日この頃です。