ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村長随想 > 環境は人を創り 人は環境を創る(仁科芳雄博士顕彰事業)

環境は人を創り 人は環境を創る(仁科芳雄博士顕彰事業)

印刷用ページを表示する 掲載日:2025年3月10日更新

加藤 泰久岡山県里庄町長 加藤 泰久

 里庄町は面積12.23km²で岡山県の南西部(倉敷市と広島県福山市の中間)に位置し、町内をJR山陽本線、国道2号が通り交通の便が良く、災害も少ない暮らしやすい町です。高度成長期から工作機械や電子部品、食品、医薬品等を製造する企業立地や宅地開発が進み、人口(国勢調査)は1965年6,966人、1985年9,975人、2020年10,950人と発展してきました。この、(浅口郡)里庄町は昭和、平成の大合併の際、単独自立の道を選択し1郡1町となりました。2025年6月に町制施行75周年を迎えます。平成の合併前は浅口郡は5町でした。浅口郡の地名は古く、続日本紀によれば716年に備中の国には浅口郡のほか8郡が置かれたとされています。また、1878年に発足した行政区間としての郡域は、現在の倉敷市、笠岡市の一部、浅口市、里庄町の全域を含む広いものでした。この歴史のある里庄町の偉人に仁科芳雄博士(1890~1951)がいます。仁科芳雄博士は「日本の原子物理学の父」と称される方で、戦前、戦中、戦後における理化学研究所の中心的な役割を果たし、理化学研究所4代目の所長をされた方です。物理学、医学、化学等の各分野で大きな功績を残されたほか、後進の育成にも尽力され、ノーベル物理学賞受賞者の湯川秀樹博士や朝永振一郎博士にも大きな影響を与えました。仁科芳雄博士の残された言葉に「環境は人を創り 人は環境を創る」とあります。里庄町はこの言葉の深い意味を実践していくために、青少年の科学する心と科学の振興を目的として1986年に科学振興仁科財団(2014公益財団法人)を設立し顕彰事業を行っています。その事業は大きく分けて、1.中高生ロボットコンテスト 2.中学生派遣事業 3.理化学研究所里庄セミナー 4.仁科芳雄博士生誕日記念科学講演会 5.仁科賞・仁科芳雄賞授与 6.仁科生家保存公開・仁科会館運営で構成されます。財団発足後36年が経過し振り返ってみると、継続することの大切さが分かってきます。中高生ロボットコンテストは、一時コロナで中断した時期もありましたが、毎年多くの生徒がアイデアロボットを作製し創造性と技術力を競っています。この大会を通して機械制御や電気技術に興味を持ち情報系や技術系の学校へ進学、その後、町内の企業への就職も見られます。また、中学生派遣事業では、理化学研究所や仁科記念財団、大強度陽子加速器センター等を見学し、最先端の科学技術に触れ、また著名な科学者の方から直接お話を聴くことで、将来、科学者になりたいと志を持つ生徒もいます。理研里庄セミナーや科学講演会では、これまで、ノーベル物理学賞受賞者である小柴昌俊博士、益川敏英博士、小林誠博士、梶田隆章博士、ノーベル化学賞の野依良治博士を始め、新元素ニホニウム発見者の森田浩介博士、今年度は理化学研究所理事長(元東大総長)五神 真博士等多くの日本を代表する科学者により、こどもたちにも分かりやすいご講演をいただき、科学に対する理解を深めるとともに、論理的な思考の大切さを学んでいます。里庄町としては、これからも、この仁科芳雄博士顕彰事業を通じて特色ある教育と人財育成を図ってまいります。(公益財団法人科学振興仁科財団について詳しくはWebサイトをご覧ください。)

QRコード

 


← Webサイトはこちらから