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いつまでも住み続けたい村づくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年12月16日更新

岐阜県白川村長 成原 茂岐阜県白川村長 成原 茂
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 ​本村は岐阜県の北西部に位置し、北に富山県南砺市、西に石川県白山市、南に岐阜県高山市、東に岐阜県飛騨市と平成の大合併により隣接する自治体すべてが市となった県境の村で、急峻な山々に囲まれ、富山湾へ注ぐ一級河川「庄川」に沿って大小16の集落に1,482人(604世帯)が生活する典型的な農山村です。

 平成7年に白川郷合掌造り集落が世界文化遺産に登録されて以降観光客が増加し、今日では年間約200万人の観光客をお迎えする観光村に成長いたしましたが、一方で日本と異なる文化や価値観を持つ外国人観光客の急増により「観光公害」いわゆる「オーバーツーリズム」の事象も散見されるようになりました。

 特に世界遺産エリアは住民が生活しているため、一般住居への無断立入り・道路や私有地の無断駐車・ゴミのポイ捨て・路上喫煙等さまざまな社会問題が発生しています。このため観光マナーを4コマ漫画で伝えることや、公式ピクトグラム看板の設置に加え、昨年からレスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)を推進し、訪れる方にその地域のマナーを知っていただき、環境・文化・社会への負荷軽減が図られることで、生活と観光が両立できるよう進めています。(詳しくは白川村ホームページをご覧ください。)

 本村は、日本三名山の「霊峰白山(はくさん)」を有し、白山国立公園内にある「白水滝(しらみずのたき)」が、令和6年に岐阜県初となる国指定名勝に指定されましたので、文化遺産とともに自然資源を活用した観光の多極化をめざし取組んでいます。

 村では令和2年から5年間を定めた第2次総合戦略をスタートさせています。「人口は維持以上を目指し、持続可能な村をつくる」ことを基本目標に、①(ひと)多様な価値観の尊重-移住定住支援の本格化- ②(しごと)観光の「量から質へ」-観光資源の多極化と経済の融合- ③(まち)結婚・出産・子育ての希望を叶える-二重の相互扶助の構築- ④(情報)プロモーションの他方向性の4つを戦略の柱として取組んでいます。

 その成果として、移住者の中間支援組織の立上げと受入れ、空き家調査から空き家情報の発信と活用、進捗中も含めた企業誘致(リゾートホテル、養豚場、酒造会社)、6次産業化を含めた白川郷ブランドの確立などが見られるようになりました。令和7年からは同戦略の後期版がスタートし、前期版をブラッシュアップさせた戦略を計画しておりますが、今後も持続可能な村づくりに邁進いたします。

 ひと昔前の本村は、御母衣ダム沿いの悪路や冬期間の豪雪などによる幹線道路通行止めにより「陸の孤島」と言われていました。現在は、村の生命線であります国道156号線で老朽化している橋(尾神橋)の架け替え、バイパス整備、トンネルの狭小箇所などの各種改良工事により安全安心な道づくりに向けて順次進んでおります。また、平成20年に全線開通しました東海北陸自動車道も対面2車線から全線4車線化に向けた工事が着々と進められており、現在では、高山をはじめ名古屋・金沢・富山・高岡からの直通高速路線バスが運行するなど利便性が格段に向上しました。ご尽力を賜りました関係皆さまに深く感謝しております。

 築57年が経過しました現在の役場庁舎は、雨漏りなどの老朽化や事務室の狭あい化、耐震化を含めた災害リスクへの対応などの理由により、「村民の安心・安全と利便性が高い環境にやさしい庁舎」を基本理念として、令和8年度末を目標に「新庁舎建設」の開庁をめざしています。

 最後に、明治8年6月に「白川村」として誕生いたしました本村も令和7年に150周年を迎えます。併せて世界遺産登録も30周年の節目を迎えます。今後も白川村として村民の生活がより豊かで「いつまでも住み続けられる村」づくりを職員一同めざしてまいります。