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人・地域がつながり、元気を未来へつなぐまち ―住み続けたいまちをめざして―

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年12月2日更新

秋田県三種町長  田川 政幸秋田県三種町長 田川 政幸​​

 秋田県の北西部に位置する三種町は、平成18年に琴丘町・山本町・八竜町の3町が合併し誕生した町で、北は能代市その奥に世界遺産白神山地を望み、南は男鹿半島・八郎潟、西は日本海に面した人口約14,000人、面積約250平方キロメートル、田園風景と里山が広がる自然豊かな町です。

 コメ生産が主体の農業の町ですが、特産品として国内でも有数の生産量を誇るじゅんさいが有名であり、メロン等の栽培にも力を入れております。観光面では、日本の快水浴場100選にも選ばれている釜谷浜海水浴場、近くに砂丘温泉のゆめろんがあり、森岳温泉を中心とした石倉山公園、またイベント関係では、国内でも珍しい砂の彫刻を制作展示するサンドクラフト、森岳温泉夏祭り等が町を代表するイベントとして定着しております。また、伝統芸能として地域に受け継がれる森岳農村歌舞伎・中館番楽・志戸橋番楽が今も地域の方々が伝承に力を入れており、さまざまな機会で披露されております。

 現在、平成30年の町長就任から丸6年、2期目の折り返しを過ぎたところです。就任してまず先に取り組んだことは、地域公共交通の再編事業であります。当時は、民間バス事業者による路線バスが運行しておりましたが、車社会の普及により利用者が減少し、路線の縮小や運行本数の減少、路線の廃止が進み路線維持のために多額の助成金が必要であり、大きな課題となっておりました。高齢者の方々や車を持たない住民にとっては大変不便な状況であり、人口減少による地元商店の廃業や医療機関への移動等、日常生活の不安を解消するためにも喫緊の課題として着手しました。合併前3町の小学校区を一つの地区として8地区8路線、そして町の主要施設や病院・スーパー等を巡回する2路線をそれぞれの地域住民による共助団体を組織し運行を担う「ふれあいバス・巡回バス」事業を令和元年10月にスタートし町内における交通空白地を解消することができました。住民が自分たちが住む地域に必要な暮らしの足を確保するためと認識し、この事業に対するご理解とご協力により、実現できたものと感謝しているところであります。令和4年にはこの事業に対し国土交通大臣表彰を頂き、町はもとより共助団体にとりましても大変励みとなったところであります。事業維持のためドライバー確保や互いの地域の乗り継ぎ等、定期的な会議を開催し情報交換や対応の協議を重ね、より利便性を高めようと努めているところであり、スポーツ少年団への練習参加の利用や令和6年の衆議院総選挙からは期日前投票所への利用について無料運行を始めました。地域の見守り機能も果たすなどその役割は大きくなってきており、今後は高齢者の免許返納増も予想されることから事業継続に向け共助団体との連携を深めて参ります。

 また、少子化については中心施設となる子育て交流センター「みっしゅ」を令和4年に開設しました。開設に合わせ、これまで分かれていた保健係の母子部門と子育て支援係を統合し、子育て世代支援係としてこどもが生まれる前から育児まで、子育てに関するワンストップ対応とこどもの遊び場を整備することにより、親世代同士の交流や子育ての悩みを気軽に相談できる環境が整いました。開設から2年が経過し、多くの利用者から子育てに関する相談や悩みが寄せられております。貴重な意見をしっかりと受け止め、安心して子育てができるよう施策に反映し充実させて参ります。

 人口減少や少子化を食い止めることは大変困難でありますが、現在建設中の統合中学校をはじめ教育環境の充実と並行して住環境の整備などの暮らしやすい環境を整えることによって働く世代が希望を持って町に残り、人と地域がつながり、未来へとつながる町を創造できるよう、魅力あるまちづくりに粘り強く取り組んで参りたいと考えております。