広島県神石高原町長 入江 嘉則
わが町神石高原町は、平成16年に神石郡内の3町1村による新設合併により誕生しました。標高500~700mに位置する自然豊かな中山間地域の町であり、約8、000人の町民がいきいきと、元気に暮らす「人と自然が輝く高原のまち」です。高原特有の標高の高さから昼夜の寒暖差が大きく、その気候を活かした品質の高いトマトやピオーネ、こんにゃく、米といったプレミアムな商品が数多くあります。
また、新幹線のぞみ号が停車する福山駅から車で約1時間、西日本を東西に結ぶ山陽自動車道福山東ICからは車で約50分、空の玄関口広島空港からは車で約1時間20分という、どの移動手段においてもアクセスの良さがあります。春は眩いばかりの新緑、夏は軽井沢と比較されるほどの過ごしやすさ、秋は手が届くような星空、冬は雪景色に覆われる農村風景など、四季折々の本物の自然を身近に感じることができます。
私は、このような魅力があふれる町で「誰もが挑戦できるまち」をめざし、こどもからお年寄りまですべての住民がいきいきと暮らし、豊かな自然が暮らしに輝きを与える、そんな住んでよかったと実感できるまちづくりに取り組んでいます。
さて、私は平成28年11月に神石高原町長に初当選して以来、現在2期目を務めています。1期目は、「誰もが挑戦できるまち」をテーマに、町民はもとより、町外から本町に関わってくださるすべての人たちの挑戦を応援する仕組みづくりに取り組みました。
その一つが「神石高原町地域創造チャレンジ基金」です。町が資金を提供して一般財団法人を設立し、その財団が町の挑戦者に出資をするという形で支援を行う。さらに、資金提供先には経営の面においての支援も含め積極的にサポートをしていくというものです。現在、12法人に1億90万円を出資し、新しいビジネスチャレンジのサポートを行っています。
挑戦をテーマにしたまちづくりが浸透し、まちづくりの基本が整いつつある中、平成30年7月豪雨災害(西日本豪雨災害)が発生しました。本町においても甚大な被害を受けました。
2期目のテーマは「安心・幸せ・さらなる挑戦」です。安全に、安心して暮らせることで挑戦ができる。そして、何事にも代えがたい町民一人ひとりが幸せに暮らしているという実感を享受できるまちをめざし、頻発する自然災害への対策や高齢者の移動支援など、すべての町民が幸せを実感し、心豊かに暮らせるまちづくりに努めています。
現在、本町の人口は急激に減少しています。この人口減少という課題を克服するのは困難を極めますが、それでも神石高原町はあきらめることなく前進します。まずは、人が減ったところを補う新技術の活用です。国内外ではドローン、自動運転、医療福祉などさまざまな分野において活用が進んでおり、今後も活用分野はさらに拡大していくことが予想されます。
次に、世界規模での物事のとらえ方です。目まぐるしく変化する時代を生き抜くために、古い慣習は捨てずとも、時代の変化を先取りして柔軟に物事をとらえ、大胆に更新していかなければなりません。「大胆」という言葉がキーワードです。未来を担うこどもたちの教育についても同じことだと考えています。
神石高原町の強みの一つに、多種多様な人たちが町内外から集まっているということがあります。産業の中枢を担っている方や町外から新しい風を吹き込んでくれる方など、一人ひとりがそれぞれの分野で目標に向かって挑戦をされています。町の知的財産はどこにも負けないほどあふれています。神石高原町はそのような方々と連携し、未来につながるその一歩を応援し続けます。
私は「挑戦」という言葉を生涯のテーマとしています。町民、一人ひとりが生きがいと希望を持ち、目標に向けて挑戦し一歩踏み出すことで、町は大きく変わることができると信じているからです。それが、「人と自然が輝く」まちづくりにつながると確信しています。