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これからを生きる子どもたちのために

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年2月19日更新

宮崎県木城町長 半渡 英俊宮崎県木城町長 半渡 英俊 
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 私が暮らす木城町は、宮崎県のほぼ中央に位置し、県都である宮崎市から車で1時間程の距離にあります。町域は東西24km、南北6km、面積146.02km²という帯状の地形をなし、町の中央を私たちの母なる川「小丸川」が流れています。町には、鉄道もなく、国道もないため「ないないの町」と自称しています。

このような町に、昭和28年6月27日、私は「おぎゃー」と産声を上げました。以来、大学の4年間はこの町を離れ、1度は憧れる「花の都大東京」において、地元で必死に働く親の脛をほんの少しだけかじりながら、ほろ苦い青春を謳歌したのち、生まれ育ったふるさとに恩返しがしたいと、ふるさと木城に戻りました。昭和51年4月、役場になんとか採用され、若手職員時代は諸先輩方から叱咤激励を受け、その後は企画課長、産業振興課長、総務課長を歴任し、副町長を経て町長に就任し、現在3期目になります。


 さて、木城町は1973(昭和48)年4月1日に町制を施行して、昨年4月に町制施行50周年を迎えました。市町村合併の波が押し寄せてきた平成の時代。私たちは自主性と独自性を大切にし、合併の道を選ばず、自立の道を歩み進めて今日があります。


 近年の財政状況においては、西日本最大級の揚水発電所である九州電力の小丸川発電所の存在は、木城町の財政にとって大きな支えとなっています。そのうえで、薫り高い文化と自然に抱かれた木城町は百済王伝説の比木神社、文豪武者小路実篤「日向新しき村」、絵本文化発信の「木城えほんの郷」、児童福祉の父「石井十次」の理念を引き継ぐ「友愛社」など、子どもたちの未来へとつなぐ取組を進めています。


 戦国時代の武将、織田信長は「人間50年」と詠いましたが、木城町はこれからも永遠に存在し続けていきます。そのためには、新たな挑戦による明日への希望を抱くことが必要です。

 本町では、病児・病後児保育施設「ひだまり」の開設、小学校・中学校の垣根を取り払うため、校舎、校章、校歌、制服すべてを刷新する施設一体型の義務教育学校「みどりの杜木城学園」の開校、制服、修学旅行の助成、給食費及び医療費の無償化、海外派遣事業の創設など、妊娠から出産、そして子育て、そして子ども一人ひとりの可能性を最大限に引き出すための環境の整備と子育て世代の負担軽減にも力を注いでいます。

 また、先人たちが築いてきたものを後世に残す責務もあります。本町の最も山奥に位置する「中之又」という地区は限界集落と言われながらも、昨年3月には中之又神楽が国の重要無形民俗文化財としての指定を受け、中之又地区に新たな一筋の光が見えました。これをチャンスと捉え、中之又地区の再生に全力を尽くしたいと考えています。何もしなければ確実に滅ぶ。ただ黙って滅ぶのを見ているのか。いやいや、今新しい道を切り拓くという思いで、チャレンジすることに決めました。


 これからの50年は、これまでの50年以上にさまざまな時代の変化が訪れるでしょう。若い世代や子どもたちにとって明るい明日を夢見ることのできるような種を蒔く、新たな50年のスタートとしたいと思います。


 ところで、チャールズ・ダーウィンは進化論の中で、「この世に生きる生物は、最も強いものではなく、最も知性の高いものでもなく、変化に対応できるものである」という言葉を残しています。また、私の最も大好きなミュージシャンのボブ・ディランは「時代が変わるからこそ、自分も変わり続ける」と歌っています。時代の変化の波に抗わず波に乗り、その変化にしっかり対応していく力が必要です。因みに、私は3年ほど前から朝・夕とウォーキングを始めています。1日2万歩を目標に頑張ってきたかいがあって、体重が変化し、15㎏ほど痩せました。その変化により体調も優れています。とはいえ、昨年古希を迎え、体のあちこちが「コキコキ」いっていますが、元気な体で、改めて、町長としてさまざまな取組に挑戦して、小さくてもキラリと光る町づくりを推し進めていく所存です。


 今日まで生きてきた私たちに課せられた最も重要な責務。それは、これからを生きる若者世代や子どもたちに、より豊かで持続可能な木城町を引き継いでいくことです。どんなに時代が変わろうとも。この町が「住み続けたい町、住んでよかった町、住みやすい町」となるよう町民の皆さまと共に歩みながら、先を見据え、しっかりと舵を取っていく所存です。


 今後も幾多の困難が待ち受けているかしれません。その都度、さまざまな悩みが私に覆い被さるかもしれませんが、私の趣味である「庭の草むしり」を、時間の空いた時に没頭してストレスを解消したいと思います。そこで一句。

 「草むしり 本当は悩み むしっている」。

 最後に、「来て・見て・感じて木城町」。皆さん、ぜひ一度木城町へ足を運んでください。