ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村長随想 > 町民ファーストのまちづくり

町民ファーストのまちづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年2月12日更新

南伊豆町長 岡部 克仁静岡県南伊豆町長 岡部 克仁
​​
 『光と水と緑に輝く南伊豆町』は、静岡県にある伊豆半島の最南端に位置し、天城山脈から連なる山地を背にして、南側・西側は太平洋に面した風光明媚な景勝地で、年間を通じて温暖な地域であります。町域は109.94km²と広大で、下賀茂温泉をはじめ、太平洋側には弓ヶ浜・石廊崎・波勝崎を中心に特異な海岸美が造成され、自然は類い稀なる観光資源を与えてくれます。冬から春にかけては早咲きでピンク色の桜と黄色い菜の花が彩る『みなみの桜と菜の花まつり』・夏は海水浴場やダイビングなどのマリンスポーツ・秋は伊勢えびをはじめとした海産物など自然を活かした観光施策に取り組んでいますので、ぜひ足をお運びください。

 南伊豆町の歴史は、下賀茂日詰遺跡の発掘調査などから弥生時代には形成されていたとされており、平安時代までに及ぶ先人の社会活動の跡がみられます。江戸時代には徳川家康によって幕府直轄地に指定され、農業と漁業を中心とした農村社会を築いていたとされています。明治の町村制施行により6つの村が形成され、昭和30年7月に6つの村が合併し現在の南伊豆町が誕生しました。誕生当初は約16,000人であった人口が現在では約7,500人と半数以下にまで減少していることに加え、高齢化率が48.1%と静岡県内で5番目に高く、人口減少・少子高齢化が大きな課題となっています。

 私は、平成29年に南伊豆町長に初当選して以来、現在2期目となります。当初から、「住んでいる町民にとって大事なことは何か」、「町長は何を求められているのか」を吸い上げ、それを実行に移していく『町民ファーストのまちづくり』を公約に掲げています。町政懇談会や報告会では一部の意見しか聴くことができず、多くの人が集まっている場所では意見を言いにくいのではないかと考え、『町長と未来を語ろう』と題して、より身近で、かつ、住民の目線に沿った意見交換をするため、2人以上のグループで構成する団体の希望により、直接現地まで足を運んで声を聴いています。そのほか、来庁される方との面会の受入れ、行事への参加、小中学生の登校時の挨拶運動など人とのつながりを大切にし、それを政策に反映させるべく邁進してまいります。

 また、人口減少・少子高齢化対策の取組の1つとして、空き家を有効活用して町内への移住・定住を推進するため、空き家バンク登録制度や空き家のリフォームに対する補助制度を創設するとともに、地域の風土や生活環境を通してより魅力を体験してもらうお試し住宅制度も実施しています。南伊豆町は、年間を通じて温暖な気候であること、自然豊かな環境で子育てをしたいなどの理由で都市部を中心に多くの方が移住されています。今後も町の魅力を発信しつつ、多くの方が南伊豆町へお越しいただけるよう取り組んでまいります。

 伊豆半島は、平成30年4月17日に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)から国内9地域目の世界ジオパークに認定されました。伊豆地域を構成する13地域の基礎自治体が「伊豆を一つに」をテーマに、『持続可能な観光の振興』、『ジオパークの保全、教育並びに持続可能な発展』、『地域振興を通じた生活者の満足度向上』を掲げた「伊豆半島グランドデザイン」を策定し、一般社団法人美しい伊豆創造センターを中心に事業を展開しています。伊豆半島の大地は数々の大型火山や火山群によって造り上げられていることから各地域にジオパークの見どころが点在しており、南伊豆町にも石廊崎の石室神社、子浦の三十三観音、入間の千畳敷などがあります。また、食の魅力発信や物産展の開催、サイクリングツアーの実施など誘客も行っています。伊豆縦貫自動車道など観光客が来やすい環境が徐々に整備されていますので、近くにお越しの際には、伊豆半島にお立ち寄りください。

 これから、人口減少・少子高齢化など過去に経験したことのない諸課題が山積する中で、一人ひとりが輝き暮らしていけるまち、いつか故郷に帰りたくなるまちづくりを進めるべく、精一杯取り組んでいきたいと思います。