ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村長随想 > 大地の恵みと海の幸  心ひとつに希望の町

大地の恵みと海の幸  心ひとつに希望の町

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年4月3日

青森県中泊町長青森県中泊町長  濱舘 豊光​​

【農業と漁業の町】

町がある津軽半島は、青森県の西側に位置し、半島東側を南北に縦断する中山山地と岩木山から北上し十三湖に注ぐ岩木川により、東津軽郡、北津軽郡、西津軽郡と分けられており、県の組織上でも東青地域県民局が東津軽郡を西北地域県民局が北津軽郡と西津軽郡を所管することになっています。

中山山地と岩木川に挟まれた北津軽郡は、北から小泊村、市浦村、中里町、金木町、間に五所川原市を挟み、鶴田町、板柳町となっていましたが、平成17年に小泊村と中里町が中泊町に、市浦村、金木町が五所川原市と合併して新五所川原市になったことで、狭い地域に2つの飛び地を持つ自治体が誕生しました。

中泊町は、「大地の恵み」を活かす農業の中里地域と「海の幸」をいただく漁業の小泊地域が、一次産業を中心に地域づくりを進める町としてスタートしました。

【スマート一次産業】

岩木川東岸、十三湖南岸に広がる広大な農地は、国営と県営の農地整備事業により、1区画が1haを超える圃場群へと変貌を遂げています。そこでは、ドローンによる調査で得られたデータとGPSの活用より田植えや稲刈り時の農業機械の自動運転等のほか、収穫時の米の成分分析データを取得することで、翌年の作付け時に自動的に施肥を行うなどスマート農業による省力化が進められています。

漁業では、県内一の漁獲高を誇り、地域商標登録も取得した「津軽海峡メバル」を最大限に活かした商品づくりとメバルに続く魚種として、マツカワガレイの養殖にも取り組んでいます。マツカワガレイの養殖では、緑色のLEDを照射することで食欲ホルモンを刺激し、出荷サイズまでの飼育期間短縮を図ることにも挑戦しています。

【旧家に残る宝物】

江戸時代に加賀国江沼郡宮ノ越から移住したとされる宮越家には、大正時代に9代当主が建築した離れ「詩夢庵」が残されており、その建具には、日本にステンドグラスを広めたとされる小川三知の作品3点が組み込まれています。

また、離れに面した庭園は、明治期以降津軽一円の民家庭園として普及した大石武学流庭園のほか、枯山水庭園と池泉式庭園から構成される「静川園」があります。

この離れと庭園は、県内外の方々からの要望にお応えし、年2回程度ですが、1回に30日間の期間限定で一般公開を始めており、これまでの3年間で1万人を超える方々に来町いただいています。

【人口減少時代のまちづくり】

数年前、国立社会保障・人口問題研究所が公表した2045年の推計人口によると、我が町の人口は、現在の1万人から4千人程度へと減少するとされています。

出生数が年間50人を下回り、高齢化に伴う死亡者が年々増加していることを考慮しますと、この傾向が今後も続き、推計通りの結果に近づいて行くことには抗えないものと考えています。しかし、未来の中泊町民が、合併当時のスローガンにあるように、「大地の恵みと海の幸」を活かした一次産業でしっかりとした経済基盤を作り、少ない人口でも地域社会のつながりを大切にした「地域共生社会」を基本とした町づくりができれば、支え合いにより一人ひとりの住民が自分らしく暮らして行けるはずであると考えています。

町では、令和2年から、総務省が進める集落支援員制度の活用や地域おこし協力隊の助力を得ながら共生のための地域づくりに取り組んできています。

一方、町役場が行う行政サービスでは、DXによる住民の利便性向上を図るとともに、小さくとも全ての分野でしっかりと機能できる行政システムを作り上げ、それにより持続可能な地域社会となることを目指してまいります。