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国富町のSDGsへの取組

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年2月13日

中別府 尚文宮崎県国富町長 中別府 尚文
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国富町のSDGsへの取組につきまして、いくつかご紹介いたします。

まず、「太陽光発電のまち国富町」です。本町は、事業用の太陽光発電施設、いわゆるメガソーラーと呼ばれるものが町内に18カ所設置されており、約93メガワット(MW)の発電が行われています。大きいものでは、ゴルフ場まるまる1コース(18ホール)がメガソーラー施設に替わったものもあり、その施設だけで32MWの発電量があります。ゴルフをされる方は想像してみてください、全18ホールに黒色の太陽光パネルが敷き詰められた光景を。それは見たことのない光景で、最初に見た時は私も違和感があったほどでした。

また、個人住宅用の太陽光発電パネル設置については、設置補助を行ったこともあり全体で約3MWの発電が行われています。

事業用、個人住宅用を合わせた発電量は約96MWとなり、町内の世帯数で換算した場合、国富町に住む世帯の4倍以上を賄っている計算になります。

次にその太陽光エネルギーを地産地消する実験についてです。本町は企業3社と連携し、エネルギーマネジメントシステムを導入し、最適制御することで、エネルギーコストの軽減、環境負荷の軽減、災害時のレジリエンス(回復力・復元力)等の向上に貢献するシステムの構築を目的とした実証実験を行っているところです。

次に国富町クリーンセンターについてです。国富町クリーンセンターは、端的に申しますと、家庭から出る生ごみと、町内で排出される家畜からの畜糞で堆肥を生産する施設です。昭和50年代の本町は、農業の専業化・規模拡大等が進み、畜産につきましても規模拡大が見られるようになった時期でもあり、それと同時に、家畜から排出される畜糞の処理が環境課題となっている時代でした。一方で、毎日家庭から出る生ごみは、当時、可燃ごみとして焼却処理していましたが、水分が多いことから多くの燃料が必要となるため、焼却炉の痛みも激しくかなりの維持管理費が必要となっていました。

そこで当時の町長が、「生ごみは燃やさず堆肥化する方法はないものか」と発想しました。畜糞を堆肥化する場合、発酵させなければならず、その際に水分が必要となるのですが、この水分として、生ごみを活用できないかと考え、昭和60年度に施設を完成させることができました。当時より「資源再活用施設」として注目を集めていましたが、今後においても「循環型社会SDGs」を40年前に先取りした施設として、ますます重要度が増していくと思われます。

次に国富町の森林についてです。本町の総面積は13、063ha、そのうち森林面積は7、782haあり、総面積の約6割を森林が占める町でもあります。そのうち約250haが竹林であり、これを有効活用するため、早出したけのこ生産技術の確立や産地化に取り組んできましたが、高齢化・後継者不足が深刻化しつつあり、荒廃化の進行が課題となっています。このような中、注目したのが、荒廃した竹林の整備を行いつつ、特産である早出したけのこ等の生産再拡大、さらには、伐竹した竹の有効活用ができないかというものでした。

幸いにも町内に竹の加工を生業にしている会社があり、本年度から放置竹林の解消や竹畑化、竹のパウダー化による堆肥化、さらに超・早出したけのこの研究やオーガニックたけのこの生産等の新作物の研究開発に取り組むことにしています。産業廃棄物が出ない「ごみゼロ素材」である「竹」の特性を生かした産地づくりを地元企業と一体となって推進することで、町の活性化を図ることが期待できると確信しています。

また、本町では法華嶽公園を森林公園として整備しています。キャンプ場等も整備されており、町民はもとより町外からも多くの観光客が訪れ、地域振興の拠点となっています。

本町のSDGsの取組につきまして、いくつかご紹介いたしました。今後は、課題となっていますDXも視野に入れて、SDGsが目指しております、福祉、子育て支援、教育、環境対策など町民が将来にわたって国富に住んでよかったと思っていただけるよう、町民や企業、団体等と連携しながら努力していきたいと考えています。