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「豊かな自然と利便性・快適性とが共存する新しいまち」を目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年8月8日

汐見明男京都府町村会長・井手町長 汐見 明男​​

 

井手町は、京都と奈良、ふたつの古都の中ほどに位置し、万葉の昔から歌枕の里として知られ、いにしえの和歌や物語に描かれた「ゆかりの場所」や「史跡」等、歴史の面影を随所に残す美しいまちです。奈良時代には、聖武天皇に仕えた左大臣・橘諸兄公が別荘を構え、奈良・大安寺に匹敵する規模の寺院「井手寺」を建立したほか、平安の女流歌人・小野小町も晩年をこの地で過ごしたと伝えられています。

面積は18・04㎢、東西7㎞、南北4・5㎞、町域の東側は急峻な山々が連なり、西側には木津川が流れる小さなまちですが、市街地にはゲンジボタルが舞う清流が流れ、その堤には桜並木や山吹、四季折々に咲き乱れる草花が彩りを添え、棚田や里山の風景、野鳥のさえずりなど、豊かな自然が訪れる人たちを和ませてくれます。

そのような豊かな自然環境と、京都や奈良に近いという立地を生かし、自然と調和のとれた活力あるまちづくりに、住民とともに一丸となって取り組んでいるところであります。

特に子育て環境につきましては、その充実に以前から力を注いでいるところであり、「子育てするなら井手町で」と呼ばれるまちを目指して▽子ども1人につき10万円の出産応援給付金を支給▽18歳までの医療費の全額無償化▽保育園から中学校までの給食費が全額無料――といった施策を実施しております。

このほかにも、給食のアレルギー対応(除去食や代替食の提供)や第3子以降の保育料無料化、町立中学校の生徒の国際交流(オーストラリア留学)の全額補助等、恵まれた自然環境のなかで、全ての家庭で子どもを健やかに育てられるまちを目指して取り組んでいるところであります。

また、より一層の利便性向上を図るため、交通環境の充実にも力を入れております。

令和6年度には名古屋と神戸を結ぶ新名神高速道路のうち、大津~城陽間の供用が開始される見通しで、これにあわせて木津川右岸地域を南北につなぐ「国道24号城陽井手木津川バイパス」という新しい道も整備されることになりました。城陽市の新名神高速道路スマートインターチェンジと木津川市を結ぶこのバイパスが完成すると、井手町から新名神高速道路まで約5分でアクセスできるようになります。

本町といたしましても、このバイパスの整備にあわせて、市街地とのアクセス道路の整備や周辺での宅地開発等の誘導を図るとともに、沿道への役場新庁舎移転にあわせて「地域振興交流拠点施設」を開設し、地域活性や賑わいの創出等につなげようと準備を進めているところであります。

一方、京都と奈良を結ぶ鉄道で、町内に2つの駅を有するJR奈良線につきましても、その全線複線化に向けた取組を沿線市町とともに進めているところであり、現在行われている高速化・複線化第2期事業によって、JR藤森駅~宇治駅間、新田駅~城陽駅間を始め、町内の山城多賀駅と玉水駅間の計14㎞の複線化が完了すると、JR奈良線全体の複線化率は64%となり、さらなる利便性の向上、安全・安定輸送が実現されるものと期待しております。

このほか、町域の北部に整備された工業団地への企業誘致につきましても、これまでのところ順調に進んでおりまして、町内の有効求人倍率はコロナ禍の影響もありましたが、2・5倍前後と、近隣市町に比べても依然として高い水準を維持しており、税収や雇用創出といった面で大きな効果が表れております。

今後も引き続き、企業や商業施設の誘致、国道24号城陽井手木津川バイパス周辺での住宅開発等につきましても京都府の協力を得ながら進めてまいりたいと考えております。

人口減少をはじめ、昨今の社会情勢等から、今後も厳しい行財政運営を強いられることが予想されますが、住民の皆さまが希望と生きがいをもって暮らせる井手町を築くために、国や京都府等のご支援を重ねて仰ぐとともに、引き続き「豊かな自然と利便性・快適性とが共存する新しいまち」の実現に向け、まい進していく所存であります。