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コロナ禍からの地域コミュニティの復活を!

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年8月1日

香川県綾川町長香川県綾川町長 前田 武俊
 

今日は6月19日。梅雨の合間の天気にも恵まれ3年ぶりの「主基斎田お田植まつり」が開催されました。

この日、感染症対策の中で式典、神事を終え11時過ぎから「お田植まつり」が始まりました。最初に地ならし、次に苗うちが終わり、田植となります。

この「お田植まつり」が開催されます綾川町は、香川県のほぼ真ん中に位置し、平成18年3月21日に綾上町と綾南町が合併し誕生した町であります。町名は町の中ほどを流れる“綾川”から名付けられ、のどかな田園と里山が織り成す讃岐ならではの風景でありながら、大型小売店舗の進出により活気が加わり、住みごこちの良さを実感できる町へと発展しております。

また、町は香川県(うどん県)にあって「うどん発祥の地」を自称しております。町が生んだ名僧に智泉大徳がいます。弘法大師空海の弟子の1人であり、また、弘法大師とともに、麺を広めたとも言われており、人々の智泉への思い、香川県、讃岐は雨が少なくこの地が麦作に適していたところから広まったものと言われております。2017年1月NHKのブラタモリで、なぜ“さぬきうどん”は名物になった?の放送回で取り上げられ全国に紹介されました。

この5月の連休中には、コロナ禍でありますが、町内の「うどん店」には県内外から多くの方が来町されました。大勢の人々が列をなして並ぶ、その光景は、コロナ禍前のようでもありました。

県内でも連休明けから5月中旬までは新規感染者が高止まりの状況でありましたが5月下旬頃から減少の傾向が見え、6月に入り収束に向け少し先が見えた感がしたところであります。

そのような中、先日(6月5日)、愛知県岡崎市を訪問しました。我が町のお田植まつりより2週間早く行われる「六ツ美悠紀斎田お田植まつり」に出席するためであります。この行事もコロナの影響により3年ぶりの開催でありました。

この岡崎市と綾川町は大正4年(1915年)大正天皇即位後の大嘗祭に供える新穀(新米)を作る御田(斎田)に当時、京都より以東以南を「悠紀」の地として岡崎市、以西以北を「主基」の地として綾川町の両地区が選ばれたものであります。この「お田植まつり」は、日本古来のお田植の風景を今に再現したものであり、小学生、高校生からお年寄りまで参加する地域コミュニティが支える行事となっております。

六ツ美悠紀斎田保存会の皆さまと3年ぶりの再会で大変懐かしく温かく迎えて頂きました。

コロナ禍の3年前では、両保存会が毎年「悠紀、主基斎田お田植まつり」の相互訪問し、両保存会の交流が伝統文化の保存、継承に大きな役割を果たしております。

現在、悠紀、主基の両地区で、両保存会が共に「お田植まつり」として保存、継承をしているところはほかにないと聞いており、稲作文化の伝承、保存に重要性を感じております。

この2年間、自治会、地域コミュニティの活動も大きく変化しました。地域の人々が支えてきた祭りをはじめとする伝統的な文化等が失われた期間でもありました。

 

<小学6年生24人が歌う田植歌>

♫さぬきの山田は 良いこめどころ ♫主基の御田は わけて良い ♫水もゆたかに 御田にいれば ♫露の玉苗 うるわしや ♫袂つらねて 植えつつ祈る ♫稔る瑞穂をささげんと♫

 

この歌声と太鼓に併せて、当時を再現した、水色の着物にたすき掛けし、朱色の袴にすげ笠等の早乙女の衣装を身にまとった高校生23人と小学校5年生14人による苗渡しにより田植えをしていきます。2・4aを20分ほどで終えました。今回参加した子供たちは、全員が初めての経験でありましたが、若苗を手植えした田を見て参加者全員が笑顔で「お田植まつり」を終えました。

今、コロナ禍ではありますが、この2年間、私たちは今までに誰もが経験したことのない感染症との戦いの中、感染予防をはじめ人との関わり等多くのことを学んできました。

先の見通せない状況にありますが、夏に向け日本各地で夏祭り本番に向け、ぜひとも創意工夫して対策を行い、地域コミュニティを復活し、今年は各地でさまざまなお祭り等が開催され、笑顔があふれることを願うものであります。