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にぎやかな過疎の町 美波町をめざして

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年6月20日更新

徳島県町村会長・美波町長徳島県町村会長・美波町長 影治 信良 ​​

町長選挙への挑戦は思いもかけないタイミングでやってきた。
当時私が総務企画課長として仕えていた前町長が、体調不良により急遽辞任することとなり「後任に立候補してはどうか」という話を何人かから頂戴した。もとより私は、政治家には向かないタイプであると自認していたし、自ら立候補することなどありえないと思っていた。今になって考えると、「私がやらなければ」という使命感にも似た思いが私の脳裏をかすめ、決意をしたように思う(今思い返しても、このような大それた決断を自分自身がしたということが信じられないでいる。)
ともあれ、私は平成21年8月に無投票当選を果たし、町長としての第1歩がスタートした。

就任の1週間後に衆議院議員総選挙があり、民主党政権へと政権交代が行われた。国民の期待を受けての政権交代であったが百年に一度といわれる経済危機、世界同時不況等も相まって政治も政策も安定せず、日本社会全体に閉塞感や不透明感が漂った時期でもあった。 そのような中、9月から本町を舞台にしたNHK朝の連続テレビ小説「ウェルかめ」の放映が始まったことは、町にとってもよちよち歩きの私にとっても明るい話題となった。

平成23年3月の東日本大震災は私に大きな衝撃を与えた。「命を守る」ということをこれほど強く意識したことはなかった。それ以来南海トラフ巨大地震への備えに向け大きく舵を切り今日に至っている。

平成26年日本創成会議の「地方消滅論」をきっかけに地方創生が動き出した時、本町ではすでにサテライトオフィスの誘致に取り組んでいたこともあり、地方創生の先進地として取り上げられ、地方創生担当大臣、総務大臣をはじめ政務官の皆さまにご来町いただいた。その頃、移住創業の取組の成果も徐々に現れ、薬王寺の門前町に複数の飲食店やアパレル等のお店が次々とオープンし、土日祝日には行列ができるほどになった。「最近美波町はにぎやかになったね」というお声もいただくようになり、こうした町の姿が映画「波乗りオフィスへようこそ」の制作、上映へとつながっていった。

平成30年5月に、過疎問題や田園回帰研究の第1人者である小田切徳美先生が本町を訪れ「この町こそにぎやかな過疎の町だ」とおっしゃっていただいたことがきっかけとなり、まちづくりのキャッチフレーズ「“にぎやかそ”にぎやかな過疎の町 美波町」が生まれた。「にぎやか」と「過疎」を掛け合わせた“にぎやかそ”は、地元の住民も移住者もごっちゃまぜで、楽しい町にしていこう!みんなでにぎやかそう!にぎやかにしていこう!という、本町がめざすこれからへの思いを込めたまちづくりの合言葉である。

そして本年3月には、次世代へつなぐ思いを込めた「美波町にぎやかそ町民憲章」を制定した。

また本町ではこの頃から「SDGs未来都市」への挑戦をはじめた。3回目の挑戦の末、先般内閣府より選定のご連絡をいただいた。持続可能なまちづくりを標榜する本町にとって1つの旗(目標の可視化)を立てることができ素直に喜んでいる。

にぎやかさとは単に人数だけでなく、人が起こす新しい変化なのかもしれない。芽生えた良い流れをさらに加速させ、予測不能な時代の中で厳しい現実は受け止めつつも、いつも明るい変化が起こるまち美波町、どこかワクワクする美波町、住んでいる人たちに活気があって一定の満足感と幸せが感じられる美波町をめざし、これからも前向きに挑戦的にまちづくりを進めていこうと思っている。