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合併後の歩みを振り返る

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年11月1日

福島県南会津町長福島県南会津町長 大宅 宗吉​​

南会津町は、福島県の南西部に位置し総面積886・47㎢で、その約92%が森林で占められています。世界的にもまれな台形状の山頂湿原を有する尾瀬国立公園田代山をはじめ、原生のままの貴重な自然が多く残っているほか、日本海へ注ぐ阿賀野川の源流地域となっています。夏は朝夕しのぎやすく、冬は2mを超える積雪がある豪雪地帯であり、会津高原の冷涼な気候のもとで生産される農産物や、清らかな湧水で醸造される地酒は、香りと味が絶妙との評価をいただいています。

当町は平成18年3月に1町3村が合併して誕生し、今年15年目を迎えましたが少子高齢化及び急激な人口減少(令和3年9月1日現在14、622人)が進み、後継者不足が深刻化しています。また、昨年当初から、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、感染防止対策をはじめ、住民の生命と生活を守ることを最重要課題としてできる限りの対策を実施してきました。

このような現状を踏まえ、当町の将来像として「互いを思いやり、人と自然がやさしさに包まれた安心と信頼のまち」を実現するために「地域の力はみんなの力、みんなで創る協働のまち」を宣言し、将来を見据えた地域づくりを町民一丸となって進めているところであります。

平成29年度より「林業成長産業化地域創出モデル事業」に取り組み、伐採、加工、利用といった町産材の供給連鎖を構築するとともに、インテリアとしての装飾品の製品化などを進めています。また、当町林業の将来にわたる拠点施設を本年度建設し、林業関係事業体の連携強化とさらなる人材育成につなげてまいります。

当町の重点振興作物の生産強化のため、種苗や資材等施設導入に係るきめ細かな支援を行い、産地の育成・強化を図ってまいりました。結果として「南郷トマト」「会津田島アスパラ」が地域団体商標に登録されたほか、平成30年度には「南郷トマト」が福島県内では初めて地理的表示保護制度に登録され、ブランド野菜の産地として成長し、農家の所得向上が図られています。併せて、新規・後継就農者の拡充につきましても国の支援制度や当町独自の研修・初度経営支援制度により、トマトを中心に毎年I・Uターンによる新規就農者がいます。

地元企業については、生産設備等の導入経費及び工場の新設や増設等経費の支援のほか、企業の成長に欠かせない人材育成面を支援しながら、若者がやりがいを持ち、安心して働くことのできる雇用の場の創出に努めています。

現在整備が進められている国道289号田島パイバスや会津縦貫南道路の開通に加え、国の直轄事業として日光市へ通ずる栃木西武道路の改良工事も決定しました。これらの全線開通を視野に、交流人口の拡大を図るとともに、八百有余年の歴史を誇る会津田島祇園祭屋台格納施設の活用も絡めながら、中心市街地の活性化に向けた事業の準備を進めています。

一人暮らし高齢者や高齢者のみ世帯が増加する中で、住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築のほか、見守りが必要な世帯を対象に自宅訪問を行い、悩みや困り事などを把握し、状況に応じて関係機関に情報提供する健康維持・増進活動の支援を行っております。また、交通手段を持たない高齢者の移動手段の確保と交通空白地帯解消のため、デマンドタクシーの運行を行っており、町内公共交通の利便性の向上に努め持続可能な地域公共交通網の形成に取り組んでいます。

「少子化対策のスタートは結婚から」を合言葉に、地域と行政が一体となって結婚支援に係る取組のほか、「出会い」から「結婚」「出産・子育て」まで切れ目のない支援を実施することで、町の人口減少に歯止めをかけていきたいと考えています。

地域の自主的な住民自治活動の推進と集落機能の維持強化を図ることを目的に、集落応援交付金事業を実施しております。集落自らが知恵を絞り集落の課題解決に向け創意工夫を凝らしながらの取組は、集落機能の維持や自主防災、高齢者の見守りなどに大きく貢献していると考えています。

主な町の施策を紹介させていただきましたが、現状に真摯に向き合い、誠心誠意、真正面から行政執行の責務を果たしていきたいと思います。最後に、四季折々の魅力あふれる南会津町へぜひ足を運んでいただき、おいしい日本酒・南郷トマト・田島アスパラなど、自然の息吹を堪能していただければ幸いです。