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(続)小さくともキラリと光る村をめざして

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年10月4日

新潟県関川村長新潟県関川村長 加藤 弘​​

町村週報への随想執筆について、新潟県町村会から、これまでの県内町村長の執筆一覧を添えて、依頼をいただきました。何気なく見ていると平成26年11月、「小さくともキラリと光る村をめざして」というタイトルで前村長の随想を見つけました。

関川村は、新潟県の北に位置し、村上市、胎内市、山形県小国町に隣接した人口5千人程度の小さな村です。

市町村合併が全国的に進むなか、小さくてもキラリと光る村をめざして、自立の道を選択した村です。

私が県職員として、市町村合併を担当する課長の辞令をいただいた時期は、県内の合併議論も収束しつつありました。

私は、大合併には疑問を持ちつつも、人流の広域化を踏まえれば、生活圏を確保したコンパクトな合併は必要だろうと考えていました。

時は流れ、そんな私が自立の道を選択した関川村の村長となったのが4年前の12月です。

村長選挙への出馬は、皆さんに驚かれました。生まれ育ちは滋賀県ですし、当時自宅は新潟市内にありました。村との唯一のつながりは、妻が関川村出身ということですから、村民からすれば、「あのひと誰?」といった感じだったでしょう。

私も、選挙運動の際に、歩いてチラシを配布しながら、集落の名前を覚えるという具合です。

しかし、村民の中からは、このままでは、村がダメになる、何か新しい風を入れることが必要だという意見も聞こえ、そんな村民の方々からのご支援を受け、村のかじ取りを任されたわけです。

さて、平成の合併については、これまでさまざまな評価がなされておりますが、今私が村長になって思うことは、小さな村だからまとまることができ、小さな村だからできることがあるということです。これが村の強みです。金がなければ知恵を出せばよいだけです。

小さな村だからワクチン接種の対応も順調です。当村では、ワクチン接種は、村の診療所と個人医院の2か所での個別接種です。

ワクチン接種にあたっては、まず村民にワクチン接種の意向、基礎疾患の有無、かかりつけ医などをアンケート調査で把握し、60歳以上の住民には、アンケート結果を踏まえ、接種日時、接種場所を個々に割り振りました。

アンケートできめ細かく住民の意向を把握して対応できるのも、また、接種人数の割り当て要請に対して個人医院が全面的に協力いただけたのも、小さくてアットホームな村だからできることだと思っています。

今心配しているのは、これまで集落単位などで守ってきた行事、イベントなどが、コロナ禍により、この2年間開催されていないことです。こうした行事の開催を通じて地域の絆が培われており、これこそが田舎の良さでもあります。

また、高齢者の外出機会と交流の場の減少により健康への影響も心配されます。

そんな中で、嬉しい話題としては、地域おこし協力隊の方が村有の古民家「東桂苑」を活躍の場として、カフェをオープンし、土日は村民の交流の場として賑わってきたことです。

健康づくりでは、コロナ禍に負けずに体を動かせるよう、多目的運動スペースとフィットネススタジオを有した健康増進施設が、今月末にオープンします。

民間のフィットネスクラブは人口5千人程度の高齢化した村では、経営が成り立ちませんが、健康維持のための施設の必要性は、どこでも同じです。

指導員と最新鋭機器を配置して、しっかりした指導体制を組み、利用者満足度の高い施設を目指しています。

道の駅『せきかわ』は、上述のワーケーション&カフェ「東桂苑」、フィットネススタジオ「コラッシェ」のほか、日帰り温泉施設「ゆ~む」、稲わらで作った猫ちぐらの実演所で村民の音楽発表の場でもある「にゃ~む」、地元の特産物の販売所「あいさい市」、大型遊具を配置した子どもの広場(建設中)、隣接して国の重要文化財「渡辺邸」を有しています。

全国的にもユニークな道の駅を目指して、現在リニューアルの真っ最中です。

村民の期待に応えながら「小さくともキラリと光る村をめざして」、その思いは自立を宣言した18年前も今も変わるところはありません。