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「住みたい町、行きたい町」を目指し

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年5月24日

兵庫県上郡町長兵庫県上郡町長 遠山 寛​​

我がまち上郡は、兵庫県最西端に位置し、自然豊かな居住環境の中で、JR山陽本線・智頭線の鉄道駅や東西に国道2号線、南北に国道373号線、また山陽道と中国道を結ぶ播磨道など交通基盤が整った都市部への通勤・通学もできる住みやすい町です。気候も温暖で、名水百選に選ばれた清流千種川が町の中央を流れ、「豊かな自然」と、NHKの朝ドラ『まんぷく』では疎開してきた主人公一家を温かく迎え入れた「人にやさしい」町でもあります。

また、わずかな手勢で新田義貞率いる大軍を白旗城で50日あまりにわたりくい止め、室町幕府の樹立に大きく貢献した赤松円心、陸軍奉行として戊辰戦争を戦い五稜郭で敗れ、投獄された後、明治政府に登用され数々の功績を残した大鳥圭介男爵を輩出した町でもあります。

本町は、昭和30年に上郡町、高田村、鞍居村、赤松村、船坂村の1町4村の合併により誕生し、最盛期には2万人弱を数えた人口も、現在は1万5千人を割るなど、人口減少は予想以上に進んでいます。

私自身、平成25年7月に町政の重責を担わせていただいてから7年が経過しましたが、この間、長年の懸案であった主要生活道路の拡幅事業、行政運営の効率化と防災機能の強化を目的とした本庁舎ZEB化事業や子育て環境の充実に向けた町立認定子ども園整備事業などの必要な大型事業に財政健全化を意識しながら取り組んだ結果、一定の財政改善が図られているものと自負しております。

町内においては、少子高齢化が進展する中で、ICTを活用した農村づくりを進める地区のほか、地縁団体を母体に農事組合法人や新たなコミュニティー活動組織の設立・運営など、地域課題を解決するための自助・共助の仕組みづくりや活動も徐々に増えてきています。

また、本年2月には、相互の人的・知的資源及び研究成果等の交流と活用を図ることによる地域社会の課題解決と発展、人材育成に資することを目的に地元高校と連携協定を締結したところです。地元高校との連携強化により、高校生の柔軟な発想力や行動力を将来に向けたまちづくりに活かし、未来の活力を創造していきたいと考えています。

現在、各地域にある町立公民館を地域の拠点として、地域の老若男女が気軽に集える場とするほか、地域課題の解決を地域ビジネスに発展させ、雇用機会の創出と地域内循環の仕組みも考えていきたいと思います。

観光面では、4月は上郡地区のさくらフェスタ、5月は岩木地区の圭介まつり、7月は川の都・かみごおり川まつり、11月は商工会まつりに赤松地区の白旗城まつりなど町内各地でにぎやかなイベントが開催されています。

加えて、全長32㎞におよぶ山歩きの本格的コース「上郡アルプス」をはじめ、西播磨地域サイクリングモデルルートにも位置づけられている千種川周遊コースのほか、2つのダム湖を周遊するコースに多くの愛好家が訪れています。

さらに、円心居城の国指定史跡『落ちない城・白旗城』や同じく国指定史跡『古代山陽道・野磨駅家跡』、築1、200年を超える『高嶺神社』など大切な歴史遺産を地域で守りつつ、その活用に取り組んでいます。

これから先、人口減少や高齢化が避けられなくなった今、地域活力を活性化・維持するためには、いかに地域で活躍できる人材を育て、呼び込むかが重要です。そのために、地域の特性を再確認し、その特性を資源として活かしながら、それぞれの個性に応じた様々な多様性が共存できる地域にならなくてはなりません。そういう地域だからこそ、「住みたい町、または行きたい町」として選ばれる町となり、その結果として出生率の改善や人口減少の抑制につながるものと考え、本町では「一人ひとりがなりたい自分になれる暮らしの実現」をキャッチフレーズに、まちづくりに取り組んでいます。

全国の町村長のみなさんとともにコロナ禍の社会を見据え頑張ってまいりたいと思います。