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温泉とパンダのまち

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年3月8日

和歌山県白浜町長和歌山県白浜町長 井澗 誠

温泉の産湯に浸かり、この世に生を受けたのが昭和29年9月24日。両親が教員という家庭環境の中、3人兄弟の長男として育ちました。就任して3期目ですが、父は私が町長になったことを知らずに他界、母は私が町長就任の2年後にこの世を去りました。母は町長になったことを喜んでいました。「やりがいのある仕事やから町のために精一杯頑張りよし。」と励ましてくれました。

大学では文学を学ぶ傍ら、英語会のスピーチセクションに所属し、多くの弁論大会に出場しました。卒業後は旅行会社に就職、渡航歴は30ヶ国、ハワイに5年間駐在した経験があります。それらの経験が観光の町である現在の仕事に役立っています。

現在、町は昨年来の新型コロナウイルスの影響で観光、経済が疲弊し、大きな打撃を受けています。1350年の歴史を誇る温泉地として、日本3古湯の一つとして栄えてきましたが、今が最大のピンチだと感じています。

近年は企業誘致に力を入れています。地方創生テレワークの流れに乗り、現在IT企業など12社が進出しています。企業が集積し始めた理由は、「風光明媚な自然」「恵まれた気候」「空港が近い立地」「耐災害ネットワークの設置」などの条件がそろっていたためです。企業誘致で地元雇用の創出や関係人口が増加するなど計り知れない経済効果につながっています。引き続き、強力に進めたいと考えています。

同時に、コロナ禍でテレワークやワーケーションが注目されるようになりました。白浜町がそれらの先進地となれるよう頑張っています。

人口は約2万1千人の小さな町ですが、自慢は何と言っても温かく人情味あふれる町民です。また、人気のテーマパーク「アドベンチャーワールド」にはジャイアントパンダなど動物がたくさんいます。昨年11月、パンダの赤ちゃんが産まれ、7頭になりました。是非、かわいい姿を見に来て下さい。

県内唯一の空港があることも自慢です。南紀白浜空港には、現在、東京(羽田)から165人乗りの機材が一日3便就航しています。首都圏からのアクセスが良く、観光やビジネスにご利用いただいています。コロナ禍の中で、搭乗者数が減少するなど影響が生じていますが、今年の秋には国際線のターミナルビルが完成する予定で大きな期待が寄せられています。

夏は町が最も賑わうシーズンで、多彩なイベントが開催されます。白良浜で行われる「ビーチラグビー大会」を始めとする各種ビーチスポーツや「砂まつり大会」「熊野水軍埋蔵金探し」などが人気のイベントです。

昨年はコロナ禍の中、海水浴場を開設するかどうか議論となりました。賛否両論の声があがる中、7月23日から8月末までの40日間、感染症対策を徹底するなど独自のガイドラインを作成して開設しました。結果、感染者は出ませんでした。今年の目標は、昨年実現できなかった本州で一番早い海開きを5月3日に行うことですが、コロナの状況を見極めながら判断したいと考えています。

夏の風物詩である2回の花火大会は、昨年はコロナ禍で中止となり、10月にサプライズ花火を実施しましたが、今年の夏は是が非でも開催したいものです。

民泊や教育旅行にも取り組んできました。海、山、川に恵まれた自然豊かな日置川地域では、体験型観光や民泊に取り組み、年間約5千名の受け入れができるようになり、地元住民の生きがいにつながっています。隣の町にも受け入れの支援が拡がるなど相乗効果が生まれています。

観光地として一番のおもてなしは安心・安全です。町民のみならず、観光客の生命を守らねばなりません。津波避難困難地域には津波避難タワーや津波避難ビルの設置を行い、町民には戸別受信機を備える事業を進めています。

今回のコロナ禍で町の観光や経済が疲弊し、最大のピンチとなっていますが、ピンチをチャンスに変えることで難局を乗り越えたいと思います。

白浜町は必ず復活します!​