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戦国大名「藤堂高虎」とともにまちづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年9月21日

滋賀県甲良町長滋賀県甲良町長 野瀬 喜久男​

甲良町は、2020年8月1日現在、住民基本台帳人口は6、829人で、滋賀県内19市町の中で一番人口の少ない町であります。社人研の将来推計人口予測でも、2045年には40%以上減少する消滅可能性の町となっています。既に本町は平成26年度に滋賀県で唯一「準過疎地」となっています。

令和3年度に「過疎新法」が制定される見込みであり、本町も法適用か否かは別として、「まち・ひと・しごと総合戦略」とともに人口減少対策の根本計画として独自に「持続可能な地域計画」を本年度中に策定する予定であります。このことは、新型コロナウイルス感染症対策後の新しい社会の在り方をめざす地方創生につながることだと考えています。小さい町ならではの地域コミュニティ振興にも力を注いで行きたいと思っています。


行政の基本施策はしっかり行いながら、地域特性を活かしたもう一つの柱は、町内に水路が縦横に張り巡っている「せせらぎのまち」と歴史・文化・伝統を磨くまちづくりも重要であると考えます。

甲良町は、バサラ大名の佐々木道誉・日光東照宮造営の甲良豊後守宗廣・戦国大名の藤堂高虎の三英傑を甲良三大偉人と称しています。三大偉人の中の「藤堂高虎」は、全国に数百万人のファンがおられるとのことであり、また歴史的ゆかりの地が多数あることから、藤堂高虎をシンボルとしたまちづくりに力を入れています。


藤堂高虎は、1556年に江州犬上郡藤堂村が出生の地で、幼名は「与吉」でお母さんと乳母のお乳で育てられ、1m90cmの大男であったと言われています。

高虎出生の集落では、高虎公顕彰会を設立し、数々の事業が展開されています。代表的な事業を紹介しますと

・農業用水が噴き出す親水公園に、高虎は生涯を通じて平和の希求者であったとして四足とも着地の「騎馬銅像」が設置。

・その「高虎公園」には大阪城の再建に使用する目的で、京都加茂町の大野山から藤堂藩が切り出した巨石が石垣に使われずに、川原にあるとの情報のもと、許可を得て11トンの「残念石」が公園に設置されています。

・藤堂高虎の先祖が勧請したのがはじまりとされる出生地の神社に紫藤の老樹があり、花房の咲き揃う5月上旬に藤切り神事と「藤祭り」の交流イベントが毎年盛大に開催されています。


ゆかりの地連携事業として、2年に一回会場を持ち回りにした「高虎サミット」を開催しています。三重県津市⇒滋賀県甲良町⇒三重県伊賀市⇒愛媛県今治市の順番で、次回は令和4年に今治市で開催が予定されています。

また、毎年の恒例行事として、ゆかりの地や高虎の下屋敷があった東京神田和泉町など関係者が集い、NHK大河ドラマに「高虎」をと請願活動をねばり強く実施しています。


甲良町では、令和元年10月に新作能「高虎」を初演いたしました。3ヶ年のプロジェクトとして能楽師や能面師のご協力により制作することができました。大変奥が深い芸術であることを実感した次第です。能楽は600年以上の歴史があり、高虎は五流派目の喜多流をおこすことに深く関与しており、城づくり・まちづくりの名手のみならず、文化人そして風流人でもある深さを感じております。本町で誕生した能楽が単発に終わることなく、ゆかりの地で演じられるよう各般のご支援をいただきながら、いずれ「国立能楽堂」や「海外での公演」を夢見つつ、私も能楽の勉強を始めた次第です。


藤堂高虎の出生の地が、高虎の聖地となるよう全国の識者などから高虎に関する情報を何でもいただき、いずれ高虎ファン全国集会を本町で開催ができるよう、本町のまちづくりが着実に前進する取組に励みます。