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魅力ある食・歴史文化、自然豊かな癒しの町

印刷用ページを表示する 掲載日:2019年6月3日

島根県奥出雲町長 勝田 康則島根県奥出雲町長 勝田 康則

【奥出雲の歴史は神話の時代から】

奥出雲町は、島根県の東南端に位置し、中国山地の嶺を隔て広島県と鳥取県に接している神話に名高い斐伊川の源流域にある町で、八俣のおろち退治や須佐之男命が降臨したと伝えられる出雲神話発祥の地です。

【たたら製鉄と日本農業遺産】

奥出雲町は日本古来の鉄づくりの技法「たたら製鉄」で栄え、世界で唯一日本刀の原料となる「玉鋼」を千数百年にわたってつくり続けています。

たたら製鉄は、山から採取した砂鉄と木炭を3日3晩燃やし続けて鉄をつくる製鉄技術で、燃え上がる炎やふいごの音は、今日まで歴史を刻み、その歴史とともに美しい棚田を形成し、この地に豊かな恵みをもたらしました。

砂鉄採掘などにより大規模に切り崩した鉱山跡地は、荒廃していくことが多いのですが、奥出雲町ではその跡地を、棚田へと再生し、独自の土地利用により、稲作やシイタケ栽培、畜産といった農林業や畜産業を発展させてきました。この様な他に例を見ない資源循環型農業が営まれてきたことが評価され、資源循環型農業のシステムは平成30年度に中国地方で初めてとなる「日本農業遺産」に認定されたところです。

今後、この認定を受けて、たたら製鉄に由来する農業と食の魅力や、たたら製鉄の歴史文化をさらに情報発信し、奥出雲町の特産品である仁多米、奥出雲和牛、椎茸、そばなどのブランド化をはじめ、農商工連携による農産加工品の開発や観光客の誘致など地域経済活性化を図ってまいりたいと考えております。

この肥沃な土壌により生産された農産物は、「ふるさと納税」の返礼品としても使わせていただいており、ご寄付をいただいた皆様からは大いに評価をいただいているところです。


【美肌温泉郷と観光スポット】

奥出雲町には、アルカリ性で美肌や血行促進、疲労回復に良いとされる温泉で、「日本三大美肌の湯」の一つである斐乃上温泉「ヴィラ船通山」、亀嵩温泉「玉峰山荘」、佐白温泉「長者の湯」があり、どの温泉も趣の異なる心身ともに癒される温泉です。

また、神話発祥の地となった船通山、たたら製鉄に関する資料や美術工芸品が展示されている松江藩の鉄師であった櫻井家(可部屋集成館)と絲原家(絲原記念館)、巨岩・奇岩が約2kmにわたり続く大渓谷「鬼の舌震」、町内を南北に縦断し途中の出雲坂根駅には全国で3か所しかない三段式スイッチバックがあるJR木次線などがあり、トロッコ列車の旅も体験することができます。秋には見事な紅葉と新そば祭りで県内外から多くの観光客で賑わいます。ぜひご家族で奥出雲町へお越しください。


【これからのまちづくり】

人と自然を中心とする「暮らし」と「生業」が、悠久の時代から連綿と引き継がれて、「つながりの豊かさを実感できるまち」、それが奥出雲町です。

しかしながら、奥出雲町にも人口減少や少子高齢化の波が、例外なく押し寄せています。

2008年には1万5454人だった人口がこの10年間で2760人減少し、高齢化率は35.08%から42.15%に増加しました。

人が支えあい生活する「まちづくり」を進めるため、地域のつながりや助け合いによる集落の協働にも取り組んでいます。

また、町内への移住希望者への定住支援の強化を図り、豊かな自然を生かしつつ新たな就労の場や、人と仕事をつなぐ仕組みなど「しごとづくり」、次世代を担う子どもたちを安心して産み、育てることのできる環境を整え、ふるさとを愛する「ひとづくり」を推進し、若者や女性、町外の人も住んでみたいと思う未来につながる町を目指してまいります。