石川県内灘町長 川口 克則
内灘町は、西に日本海、東に河北潟を擁し、白山・立山連峰を望む砂丘の町です。昭和27年、この砂丘地を米軍の砲弾試射場に使用する計画が日本政府から石川県に伝えられたことに端を発する内灘闘争は、戦後初の基地反対闘争として知られています。射撃指揮所及び着弾地観測所の建物は現在も本町指定文化財として残されています。
内灘海岸はマリンスポーツも盛んで、四季を通じ多くの人で賑わう、本町の貴重な観光資源です。平成18年には、人が水に直接触れることができる個性ある水辺を認定する「快水浴場百選」に選定され、「環境への配慮」、「水質・自然環境」、「安全性」が高く評価されています。日本海に沈む夕日や砂丘の風紋などの自然を五感で体感できる魅力的な場所で、北陸新幹線の金沢開業後は外国人を含む多くの観光客が訪れるなど、町民自慢の観光スポットとなっています。
また、内灘海岸では毎年5月に、国内外から凧の愛好家が集う「世界の凧の祭典」が開催され、和凧や洋凧、大小様々な凧や連凧が大空を舞う光景が、多くの観光客を魅了しています。31回目となる今年は、5月12日に開催されますので、ぜひご来場ください。
このような貴重な財産である内灘海岸のさらなる活性化・賑わい創出に向けて、昨年11月、『内灘海岸賑わい創出事業基本構想』を策定しました。『人がふれあい 潮風と遊ぶ サンセットビーチ うちなだ』を基本理念に、さらなる交流人口の拡大・地域経済の活性化を図るべく具体的施策の検討を進めています。
さて、内灘町は、昭和37年の町政施行以来、県都金沢の近郊都市として大きく成長を遂げてきました。金沢駅から北陸鉄道浅野川線でわずか17分と近く、また、のと里山海道の始点で、能登への玄関口ともなっています。
急速なマイカー社会の進展に伴い、浅野川線の利用者は、昭和44年をピークに年々減少していました。ところが、平成27年の北陸新幹線金沢開業を機に増加に転じ、最近は金沢外環状道路海側幹線の整備に伴い利用者数が大きく伸び、内灘駅は、年間約100万人の方に利用されています。
しかし、現在の駅舎は、昭和49年に整備されてから44年以上が経過していることから、町の玄関口として駅舎を含む周辺の整備が急務となっています。
そこで、町では昨年11月、人と公共交通を優先した安全に乗換ができる空間や、町を訪れた方が「内灘らしさ」を感じることができる空間を作り、人々が快適に集うことができる交流・賑わい機能を持たせることを基本方針とした「内灘駅周辺整備事業基本構想」を策定し、8年後の完成を目指し動き出しました。
このような中、本年2月、金沢市の高等学校と連携し、内灘町歌をもとに浅野川線の発車メロディーを製作しました。地域に密着したローカル鉄道を演出することで、地元の皆様にマイレール意識を持っていただくとともに、観光客のおもてなしにも一役買っています。
平成もあとわずかで幕を閉じ、新しい時代となりますが、新たな気持ちで町政運営に取り組み、「明るく元気なまちづくり」の実現を目指してまいります。