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日本一のキャベツの村 嬬恋村

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年12月17日

群馬県嬬恋村長 熊川 栄群馬県嬬恋村長 熊川 栄

 

■キャベツ日本一の村

嬬恋村は群馬県の西北部に位置し、長野県の軽井沢町、小諸市、上田市、須坂市などと県境で接しています。県境には日本百名山の浅間山、四阿山、白根山の2000m級の山々が連なり、日本の大分水嶺をなしています。

これらの山々に囲まれ、かつての火山活動で形成された広大な山麓の平均標高1200mの高原において、キャベツが生産されています。土壌は、黒ボク土と言われる火山灰土の腐食土壌が多く、高原野菜栽培に適しています。気候としては、キャベツの生産過程の期間が大変涼しく、6~9月の平均気温はキャベツの生育適温と同じ15~20℃となります。昼夜の温度差と高原特有の朝露、そして栽培に適した土壌によって、やわらかく甘みのある、美味しいキャベツが生産されており、その作付面積は3400haにも及び、日本一のキャベツ産地となっています。

年間2300万ケース(標準8個入り)を出荷し、その売上代金は200億円に達しており、本村の基幹産業となっています。


■観光の村 南に軽井沢 北に草津温泉

農業「キャベツの村」に加え、村を支える二本柱として、「観光」にも力を入れています。本村の南には、日本有数の避暑地「軽井沢」、北にはこれもまた日本有数の温泉地である草津温泉がありますが、これら近隣の有名観光地との差別化を図るため、本村独自の観光振興を図っています。

観光大使を「キャベツ大使」と称して、村内外の様々な職種の方に委嘱し、村のPRに貢献していただき、また、スポーツイベントとして、「キャベツマラソン」、「キャベツヒルクライム」など、さらには毎年、「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ」通称「キャベチュー」を実施し、村のマスコットキャラクターとして、「嬬キャベちゃん」を作成し、村の「宣伝部長」に任命して、各種イベントでのPR活動などを行っています。

また、昭和30年頃に今も本村が所有する浅間山麓において「浅間高原火山レース」が行われていたことを由来として「モータースポーツ発祥の地」と銘打ち、モータースポーツ関係者の皆様とともに「嬬恋村モータースポーツ推進機構」を設立し、モータースポーツの振興による地域活性化に取り組んでいます。その成果として、年間9戦行われる「全日本ラリー選手権」の内、2戦が春と冬に本村の公道で行われており、全国から多くのモータースポーツファンが、「モータースポーツの聖地」を訪れてくれています。

このほか、浅間山麓に広がる広大な別荘地域では、本村特有の冷涼な気候を求め、多くの方に別荘ライフを楽しんでいただいており、別荘の数は、約9300戸と既存住民の世帯数の約3倍にもなっています。

また、リゾート地に不可欠な、ゴルフ場、スキー場、キャンプ場など多彩なレジャー施設もあり、特に「おもちゃ王国」には、県内外から訪れてくれた沢山のお子さん達が笑顔を見せてくれています。


■自然環境豊かな村

豊かな自然環境を活かした取組として、ジオパーク構想に隣接の長野原町さんと共に取り組み、2016年、日本ジオパークネットワークから認定を受け、「浅間山北麓ジオパーク」として活動を広げています。また、長野県側とともに、本村万座地区が、「志賀高原エコパーク」の認定をユネスコから受けています。

さらには、群馬県が新たな取組として行っている「県境トレイル」にも積極的に参画し、自然豊かな環境を活用した誘客を図っています。


■交流の村 交流人口の増加を目指して

本村は、東京都千代田区、沖縄県座間味村と姉妹提携し、横浜市中区とは、友好協定を締結しています。

また、定住自立圏構想として、県境をまたいで長野県上田市、東御市、立科町、長和町、青木村、坂城町と連携した取組も行っています。

さらには、明治大学、東海大学、女子栄養大学との連携を図り、ファームステイやイベント交流などを行い、これら関係団体との連携により、交流人口の増加策を講じています。

また、海外との交流では、日本ロマンチック街道の取組により、本場ドイツのロマンチック街道と相互交流を行い、火山災害をつながりとしてイタリアのポンペイ市とは、小学生による絵画交換交流を行っています。

さらに毎年、中学生の海外派遣事業として、アメリカのアイダホ州コーダレインに中学生が訪問し、ホームステイを行っています。

また、ここ数年、戦略的な交流人口増加策として、私自身が重点的に近隣の長野県、埼玉県をターゲットとして、トップセールスを行っています。


■2020 安心安全の村

日本有数の活火山である浅間山、白根山を抱える自治体として、防災対策にも積極的に取り組んでいます。

前述のように本村は日本一のキャベツ産地であり、また多くの温泉資源は「火山の恵み」といっても過言ではありません。したがって、本村にとって、「火山と共生」していくことは宿命であり、その対策として「危険と判断された場合はより慎重に、安全なときは積極的に観光資源として活用し、火山に慣れ親しむ」ということを基本としています。

火山防災に関する訓練としては、既存集落よりも浅間山の近くに存在する別荘地域において、居住者や来訪者に対する広報活動や避難誘導について、消防団の協力を得て行っています。

本村は、今から235年前、天明3年の浅間山噴火によって大きな被害を受けましたが、その復興を成し遂げてきた歴史があります。

火山の恵みを享受しながら、災害と向き合ってきた地であることを次世代につなげていくことが重要であると考えており、このことをテーマとして、前述のジオパーク構想にも取り組んでいます。


■明るい未来の村

銀も金も玉も 何せむに勝れる宝子にしかめやも

過去を学び、今を認識し、未来の子供達のための未来を創りましょう。