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ふるさとが好きな子に

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年5月25日

広島県北広島町広島県北広島町長 箕野 博司

北広島町は、南を広島市、北を島根県と接する中山間地に位置し、平成十七年に芸北町・大朝町・千代田町・豊平町が合併してできた町です。人口二万人弱、小中学生は千五百人の町で、人口減少・少子化が進むことが、大きな課題となっています。

昨年「第二次北広島町長期総合計画」のスタートの年として、「人づくり」「協働のまちづくり」を基盤に据え、豊かな地域づくりを進めています。この町で暮らすすべての人が「住みたい・住んでよかった・住み続けたい」と満足感と幸福感を得られる町づくりに取り組んでいます。田園回帰やIターン等で新しく本町に移住してくれる方も大いに歓迎ですが、本町で育った子ども達が地域に残りたいと思ってくれる町づくりをしていかなければなりません。


【ふるさと夢プロジェクト】

町の将来を担う子どもたちには、「ふるさとを知り、ふるさとを愛し、将来ふるさとに住みたい、ふるさとに帰りたい」子どもになってほしいという願いを込めた取組を行っています。

私達が子どもの頃は、山や川、自然の中で、大いに遊んだものでした。そうした体験が、ふるさとに住みたい、ふるさとに帰りたいと思う、原点であると思います。今は、山や川で遊んだり、田や畑の作業を手伝ったりという体験は、ほとんど無くなっています。そのような中で、郷土愛が果たして芽生えるのだろうか。まずは、我が町の素晴らしさを体験し、実感し、友達や地域の人達と感動を共有する。こうした取組の積み重ねが、郷土愛を育み、残りたい・帰りたいという思いに繋がっていくのではないだろうか。そんな思いで、「北広島ふるさと夢プロジェクト」がはじまりました。


【川ガキプロジェクト(大朝)】

「昔の遊び場であった川で、今の子どもたちにも遊んでほしい」という願いから、川周辺の整備が始まった地域があります。地域の方が自分たちのために、懸命に作業を進めてくださっていることを知った子どもたちは、一緒に空き缶を拾ったり、自然のウォータースライダーを楽しんだりしました。

子どもたちの感想の中に、「こんな自然の川に入れることが北広島町の誇りだ。」という言葉もありました。


【茅プロジェクト(芸北)】

子どもたちが自ら考えた活動もあります。子どもたちは、地域の隠れた資源である茅に目をつけました。茅は、茅葺屋根の部材として取引されており、これを集めることが町内にある茅葺の文化財建造物や民家を守ることに繋がると考えたのです。

茅の刈り取りは、子どもたちが地域の人や保護者と一緒に行い、出荷量を増やすために高齢者学級に協力を要請しました。刈った茅は、地域通貨に換金できる「茅金市場」を設置し、茅生産の促進と地域内消費を進める仕組みを作りました。

これらの取組は、次第に多くの方に理解してもらうようになり、平成二十七年十二月には、環境省主催のミニフォーラムで成果を発表しました。地域貢献と共に、環境省や地域の方に認められているという自負にもつながり、より充実し発展した活動が可能になったと感じています。


【農山村体験事業】

また、本町では、県内の小学校五年生を中心に農家民泊の受入を行っており、今では町内の小学校五年生も、併せて受入をしています。

自宅では経験できない、農業体験や林業体験、登山や川遊びなどの貴重な体験により、田舎に残っている自然や温かい人間性など、田舎の素晴らしさを実感してくれていると思います。

今後も、これらの事業に取り組むことで、未来の北広島町を担う人材を育成していきたいと思っています。

北広島町の子どもたちが、ふるさとへの愛着を持ち、大きくなって町内に就職したり、町外へ出てもUターンしてくれることを期待しています。