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サラブレッドの故郷をつなぐ

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年11月2日

サラブレッドの故郷をつなぐ

フリーアナウンサー  青山 佳世(第3019号・平成29年10月30日)

紅葉から雪景色へと足早に季節が移りゆく北海道。道央と道東を結ぶ交通の要衝であり、冬は凍結などで難所と言われる国道274号日勝峠。昨年8月の台風10号の影響で、66箇所被災して通行止めになっていたが、ようやくこの10月28日通行止め解除。その間は、すでに阿寒湖まで開通している道東道の一部区間を無料にして、物流・生活道路を確保してきた。もう一本のみちが助け船となったのだ。

高規格道路の走りやすさ、安心感を覚えるのは人間だけではない。サラブレッドも信号が苦手なのだ。自分で走るのは得意だが、人が運転するトラックの動きには敏感になるようだ。日高からえりもへ向かう沿線には、競走馬を生産、育成する牧場が沢山あり、欧米にも負けない美しい牧場の風景が広がっている。往年の名馬も繁殖馬として活躍したり、ゆっくり老後を過ごしている馬もいる。そんな名馬の姿を一目見ようとファンが訪れている。少しずつだが、名馬の故郷をめぐるツアーなども企画されている。ただ国道も快適とまでは言えず、移動に時間がかかっていたが、日高自動車道が日高門別ICまですでに供用、さらに今年度中には日高厚賀ICまで延伸される予定で、道央との距離感が少しずつ縮んできている。

北海道ではシーニックバイウェイ(景観の良い脇道、日本風景街道ともいう)の取組が盛んである。単に風景が美しいのではなく、その風景を守る取組や、地元の人たちの魅力づくりなどが原点にある。地域に人を呼び込みビジネスに結びつける動きも盛んだが、魅力づくりと一体とならなければ旅人の心は掴めない。幕別町に「シーニックカフェちゅうるい」があり、夏の間、小高い丘にある牧場の展望台に、地元の人たちがカフェを開いて、訪れる人たちをもてなしている。コーヒーを飲みながら、目の前に広がる田園風景を眺め贅沢なひと時を過ごす。「幕別町と合併した忠類村の名前を残しておきたい」という故郷を愛する人たちのおもてなしに、美しい田園風景にほんわりと明かりが灯る。

帰りは帯広空港から帰ろう。旅のルートも選択肢が広がり、旅の楽しみと共に地域の元気につながることを期待している。