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田んぼの雑草を食べてしまう

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年10月10日

田んぼの雑草を食べてしまう

コモンズ代表・ジャーナリスト 大江 正章 (第2976号・平成28年10月10日)

8月末に栃木県小山市で「第4回生物の多様性を育む農業国際会議」が行われ、コーディネーターとして参加した。印象的だったのは、生物の多様性を「育む」段階から、 多様性を「活かす」段階へと技術が進み、経済との両立も実現しつつあることだ。同時に、大きな注目を集めたのが、 呉地正行さん(ラムサール・ネットワーク日本共同代表)が基調講演のなかで話した「コナギは美味しく食べられる」だった。 

コナギはミズアオイ科に属し、東南アジア原産。水田に発生する雑草だ。花はホテイアオイに似ていて、青紫で可愛いが、草は無農薬の稲作では大敵。田植え後の深水管理に失敗すると、一面に繁茂する。 ぼくが仲間と借りている田んぼでも毎年、ヒエと並んで悩まされてきた。同様な経験をしている会議参加者も多い。あの憎きコナギが食べられるとは!

呉地さんによれば、東南アジアでは美味しい野菜として知られ、栄養価も高いという。視点を変えれば、雑草が資源・栄養源になるわけだ。 

戻ってから検索してみると、コウノトリ呼び戻す農法が広がりつつある福井県越前市では、市内の料理研究家が考案したレシピで試食会が開かれていた。細巻き寿司、唐揚げ、味噌炒め、てんぷら、 おひたしなどが並び、評判がよかったそうだ。カリウムの含有量が多いという。カリウムが不足すると、慢性疲労や高血圧を引き起こしやすい。別の方のメニューは、鶏肉・人参・コナギの彩り炒め。 見た目も良く、いかにも美味しそうだった。ただし、泥を落としたり繊維分を除去するのに手間がかかる。 

合鴨水稲同時作を提唱して世界的に知られる有機農家・古野隆雄さん(福岡県)は、田んぼからは米と肉(合鴨)と魚(水路のドジョウや鯉)とデザート(畔に植えたイチジク)がいただけると言う。 ビールのつまみ(畔の枝豆)だって、得られる。唯一欠けていた野菜はコナギから。田んぼはお米だけを穫る単作の場ではない。ちなみに、コナギは小菜葱と書く。恥ずかしいけれど、今回はじめて知った。 漢字なら、野菜として食べられるとすぐわかるではないか。