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「志」を持てばよい遺伝子がオンになる

印刷用ページを表示する 掲載日:2006年4月17日

筑波大学名誉教授 村上 和雄 (第2557号・平成18年4月17日)

私は、人間が心構えとして良い目的や志を持てば、良い遺伝子のスイッチがオンになり、体や能力が活性化するという仮説を立てています。そしてなんとか、これを科学の言葉で説明できないかと日夜、努力を続けています。

遺伝子研究は、DNAの暗号解読をはじめとして急速に進歩していますが、中でも遺伝子が寝たり起きたりしていることがわかり始めた事実に注目すべきです。なぜなら、もし、よい遺伝子をオンにし、悪い遺伝子をオフにして寝かせておけるなら、人間社会に大きな可能性が開けてくるからです。

私の研究室で、高血圧を引き起こす微量物質「レニン」の正体を世界で初めて突き止め、ヒトのレニンの全暗号も他に先駆けて解読することができました。

その時、私たちには、この研究をどうしても世界に先駆けてやりたいという強い意志がありました。さらに、世界的には無名だった筑波大学を世界一にしたいという夢もありました。

何よりも、高血圧の原因解明を進め、世界の高血圧患者さんのお役にたちたいという「志」があったのです。

すると、研究の最終段階では、それまで8時間寝ないともたなかった学生が、3時間程度の睡眠でも平気でいたのです。これは、よい遺伝子のスイッチがオンになって体が活性化し、仕事をしても疲れを知らなくなったとしか私には考えられません。

何より大切なのは、強い想い、プラス思考です。大天才と普通の人の遺伝子暗号で、違いがあるのは千に1個です。さらに、その中で意味のある違いは、その10分の1にすぎません。

つまり、大天才と普通の人は、遺伝子の暗号レベルでは差は殆ど無いのです。99.99%が同じなのです。

こう考えると、やる気が湧いてきます。そして、ひょっとしたら、その0.01%違いこそ、「志」があるかどうかの違いなのかもしれないのです。