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宴(うたげ)のあと

印刷用ページを表示する 掲載日:2002年6月3日

宴(うたげ)のあと

評論家 草柳大蔵(第2400号・平成14年6月3日) 

沖縄復帰30周年、政府による景気底打ち宣言、ワールドカップ日本代表選手決定と、おめでたい話、嬉しい話が続けば、新聞もテレビも尻馬に乗るためか、東京の百貨店・銘店街は家庭用の「宴」を考えてか、買い物客で混雑している。

景気にはずみがついて嬉しくないわけではないが、テレビで招待国のキャンプ地めぐりだの、エスニック料理の試食会などを毎晩のようにやられると、ワールドカップが終わるまで日本は軽いシゾフレ(精神分裂症)に陥りそうだとあまりいい気持ちはしない。

シゾフレ人間は周囲と合わせるタイプで、過去と首尾一貫していなくても、いま周りに合っていればいいと、現在との同調を大事にする。アメリカでは20年来この傾向がつよくマイケル・ジャクソンのCDが4千万枚売れているが、最近では日本でも浜崎あゆみのCDアルバムが700万枚売れたほか、年間メガヒット曲は30を超える勢いだ。

シゾフレは一種のかたよりだから平衡状態に戻ることはあるが、これが行き過ぎるとメランコリック(憂鬱症)になりかねないので警戒が必要だ。

6月末の政変を視野に入れて考えると春から初夏にかけて、田中真紀子、鈴木宗男、加藤紘一、井上裕などの秘書給与問題等があまりにも唐突な形で生起を続けた。むかしの諺を変えて言えば「将を射んとするものは秘書を射よ」である。最後に落馬させる将は小泉純一郎首相にほかならない。それが成功すれば、あるいは日本人は明るい話題を失って一挙にメランコリイに陥入るかも知れない。そうなったら、株価は下がる、国債の格付けは落ちると、財務省は「二番底宣言」を出さざるをえなくなるかも知れぬ。

それを先読みして石原慎太郎・小泉純一郎親戚政権が誕生すれば、またもやシゾフレの方に国民の気分が振れて、秋には“慎純音頭”の盆踊りということになろうか。少し落ち着いてほしい国になってきた。