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「田舎力」を最大限に

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年12月7日

フリーアナウンサー  青山 佳世(第2942号・平成27年12月7日)

早いもので今年も1年過ぎようとしています。地域づくりにとって時間はとても貴重です。地域おこし、地域づくり、地域創生・・・様々な呼び名の下、 各地で行われている様々な取組の成果は何年か経たないと見えてきません。マラソンと同じで、スタートは勢いよくても息切れするケース、スローペースでも何年か後に見事花咲くケースもあります。 地域づくりはペース配分と息長く続けることが肝心です。

10年ぶりに訪れることになった宮崎県西米良村、西米良式のワーキングホリデーを作り上げた人口約1,150人の村。今回楽しみにしていたのは「おがわ作小屋村」を訪ねることでした。 渓谷沿いの細い山道を進むと、少し開けた土地に平成の桃源郷が現れます。小さな集落には小川城址公園、小川にかかる太鼓橋、収穫した稲がはざ掛けされた棚田。思い描く日本の原風景そのものです。 90人ほどが暮らす小川地区で2009年に地元27人の有志によって始まった取組です。かやぶきの古民家でお母さんの作る16種類の料理をいただき、コテージに泊まる。運営はすべて地元の人たちが行います。

最近の田舎活性化の事例には田舎を舞台にした効率的な経営で作り上げる事業も多くみられますが、ここでは住民主役の徹底した「田舎」を磨き事業化することを目指しました。開設までに5年かかったそうですが、 それは地元の人たちの意識を変えるために必要な時間。当たり前の田舎が都会の人たちにとって魅力であること、「観光」には縁のなかった地元の人が観光客をおもてなしすることへの抵抗をなくすことでした。 見事成功、地元の人たちの活力にもつながっています。

ただ他の地域でも見られる現象ですが、話題を呼んで急に大勢の人たちが訪れすぎると、地元の人たちの体や心の負担になって続かないこともあることを忘れないでほしいもの。

田舎の情緒とぬくもりを前面に、しっかりとした経営を行う。難しい両立ですが、いつまでもその笑顔が続くよう是非ともみんなで応援していきたいものです。