事業構想大学院大学教授 重藤 さわ子(第3357号 令和8年4月20日)
アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃で中東情勢が一層緊迫し、原油や天然ガスの価格上昇や供給不安が広がっている。燃料だけでなく、私たちの生活に不可欠な石油化学製品への影響も指摘されており、車依存が高く、一次産業も盛んな町村では、日々の暮らしに直結する不安を抱えておられるのではないかと心が痛む。こうした不安を必要以上にあおるつもりはないが、だからこそ今、地域のエネルギーをどのように確保し、地域の生活を守っていくのかを改めて考える意義があると感じ、本テーマを取り上げることにした。
そもそもエネルギー政策とは何か。エネルギーは産業と暮らしを支える国家安全保障の根幹であり、日本はその「経済の血液」を長く海外からの輸入に頼ってきた。しばしば「日本には資源がない」と言われるが、もし本当にそうであれば、2012年に導入された再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)によって全国各地でメガソーラーが急速に普及し、時に反対運動まで起きるほどの広がりを見せることはなかっただろう。国内には、未活用のエネルギー資源は確かに豊富に存在する。
筆者は、東京都に住んでいるが、電気料金が年々上がるなかでの2023年の高騰で、省エネ努力も限界かつ、もう大きく下がることはないだろうと判断し、2024年に自宅に5・12kwの太陽光発電を設置することにした。その結果、2025年の年間(1月から12月)の電気使用量は2023年と比して1⁄3、電気代は約6割減となった。また、10年間FITによる売電もできるため、その売電価格も入れると7割減である。確かに初期の設置費用は無視できないが、光熱費は毎日積み重なり続ける支出である。それにもかかわらず、電気料金の明細や中長期的な変化を丁寧に確認し、根本的な対策を講じている人はどれほどいるだろうか。
国のエネルギー政策を批判し、責任を他者に委ねるのは簡単だ。しかし今の時代、自らエネルギー高騰リスクを軽減できる工夫や手段は既にある。その事実を、この危機の折に今一度、考えてみていただければと思う。