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25年つながった 地域づくりインターンのバトン

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年3月23日更新

法政大学現代福祉学部教授 図司 直也(第3354号 令和8年3月23日)

 ​この3月初旬に、地域づくりインターンの会25周年記念パーティーが開かれた。会には今年度派遣の現役学生から、社会人となったOB・OG、さらに、地域づくりインターン事業を提唱された宮口侗廸先生もお迎えでき、世代を超えて懐かしい顔ぶれがそろった。

この会の源流は、1996年、旧国土庁で試験的に行われた「若者の地方体験交流支援事業」にさかのぼる。地方の小都市や農山漁村で展開する地域づくりの現場が、都市の若者を受け入れ、UJIターンにつなぐねらいがあった。

地域おこし協力隊や関係人口という言葉がまだなかった当時、農山漁村に若者の姿は珍しく、派遣学生は「こんなところになぜ来たの?」と地元住民から必ず聞かれていた。若者たちは初めて訪れた地域で、暮らしの中に飛び込んで、住民とともに農作業に汗を流したり、行事やイベントを手伝ったりして、短期間ながら交流を深め、立場を超えてお互いが大いに刺激を受けた。

しかし、国の事業は2カ年で中断し、参加学生と受入地域の双方から、このような良い出会いの機会を続けよう、と2001年に立ち上がったのがこの会である。会の目的は、都市部の学生たちと農山漁村の地域の人々を結ぶ「きっかけづくり」、いわば地域の人々と学生との「お見合い」に置かれている。そして、現場に赴き新鮮な体験を得た学生有志が、その想いを後輩たちへと、次年度の事務局を担う「学生事務局」により運営を続けてきた。

会の継続性を考えると、学生の反応に委ねる運営に危うさもある。実は、学生事務局の担い手がいなくなったら、この会は休会にしてよい、と定款にもこっそり書き込んである。初心が途絶えれば、無理に会を続ける必要もないのだ。それにもかかわらず、25年の月日を重ねてバトンがつながり、その実績は、受入地域のべ27団体、学生約550人、国がめざしたねらいが現実のものとなった今、学生たちが地方の暮らしに出会い、農山漁村を大事に思う人材がこれほどまで育ったことを誇らしく思う。