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地方公務員法の改正と人事評価

印刷用ページを表示する 掲載日:2007年7月2日

東京大学名誉教授  大森 彌 (第2606号・平成19年7月2日)

国家公務員法の改正にあわせて地方公務員法(地公法)の改正案が国会に上程され、その内容が明らかになった。国では再就職あっせん規制 と「官民人材交流センター」の設置が大きな話題になっているが、改正のねらいは人事管理制度全体の変革 にあり、その人事管理の基礎となる人事評価制度を導入することである。町村も地公法改正への対応を迫られる。

現行と改正案を比較し直ぐ気づく重要な点は、職階制を廃止し、人事評価を入れたことである。戦後GHQから強要された職階制は既に立ち枯れているが正式に削除されることとなった。代わって人事評価が明記された。これは、「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当 り発揮した能力及び挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価」のことであり、任用の根本基準 にすえられている。能力と実績に基 づく人事管理を行うためには、首長 や議長などの任命権者は、職制上の段階の標準的な職とその職の職務の遂行する上で発揮することが求めら れる能力として「標準職務遂行能力」 を定めることになる。

例えば昇任は「職員の受験成績、 人事評価その他の能力の実証に基づ き、任命しようとする職の属する職 制上の段階の標準的な職に係る標準 職務遂行能力及び当該任命しようとする職についての適性を有すると認められる者の中から行う」ものとなる。また、職員の意に反して降任又は免職にする場合の、現行の「勤務 実績がよくない場合」は「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」へと 改められている。

さらに、給与に関する条例には、 職員の職務の複雑、困難及び責任の度に基づく等級別の基準職務表を設 け、等級別に職名ごとの職員数を公 表することになる。人事評価は「公正に」「定期的に」行われなければな らないから、首長等はその人事評価 の基準及び方法を定めなければなら ない。顔が見える職場だからといって、従来のような年功序列的な人事運用を続けることはできない。