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市町村内狭域自治体の創設

印刷用ページを表示する 掲載日:2002年9月2日

市町村内狭域自治体の創設

千葉大学教授 東京大学名誉教授  大森 彌 (第2410号・平成14年9月2日)

27次地方制度調査会は、地方制度に関し、「基礎的自治体内の地域組織等」を重要事項の一つとして審議するとしている。その主旨は、地方自治法に、市町村が、条例によって、その区域内に任意で住民自治組織を創設する権能を付与する規定を設けるというものであると思われる。大いに注目される。これは、憲法が規定している「地方公共団体」を市町村内にもう一つつくり、地方自治の仕組みを三層にしようというものではない。したがって、その住民自治の形態は市町村の自由な選択に委ねるというものである。

一般に市町村は基礎的地方公共団体と呼ばれているが、330万人の巨大都市自治体から200人足らずの一島一村自治体まで、その規模も地域特性も多様を極めているといってよい。これまでも、政令指定都市では必置となっている行政区を、単なる出先機関の区域としではなく、住民自治区的なものにすべきではないかという議論が行われてきた。狭域自治体の制度化構想は、行政区を自治区に変えていく可能性を開くものとなる。

現に進行中の市町村合併に際しても、もしこうした権能を基礎自治体がもちうるならば、合併後に周辺地域がさびれるといった不安も制度的に解消できるかもしれない。合併によって区域を広げ新たな自治行政に乗り出すと同時に、旧市町村単位で、あるいはもう少し小割にして、地域住民の自治組織を制度化することができるならば、それまでに築いてきた特性や個性を維持・発展させることができるだろう。合併して区域を広げれば、必ず地域自治の充実を図るべきなのである。このような市町村内の狭域自治体を、「住区自治体」とか「近隣自治体」とか「コミュニティ自治体」とか呼ぶことができよう。

ただし、こうした法制度の整備がなされるからといって、このたびの合併を見送る小規模市町村を、憲法上の地方公共団体からはずして、こうした住民自治組織に移行させるといった、合併後の受け皿づくりに使うことは考え物である。