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個別法による仕事の義務づけ

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年8月28日

個別法による仕事の義務づけ

千葉大学教授・東京大学名誉教授 大森 彌 (第2326号・平成12年8月28日)

平成7年7月に任期5年で発足した分権委はもう1年延長となった。8月8日には総理に「意見」を提出したが、今後の検討課題とし「合併の推進」が強く要請されている。合併特例法が施行されて自治体側も努力中であり、分権委が具体的に何を審議するのかは必ずしも定かではないが、官邸も与党も極めて強い推進の意向である。

その背景には、介護保険の実施などに伴う広域化の要請もあるが、何より、国地方を通じる財政危機がある。地方交付税制度も破綻に近い。現行は、どんなに小規模な自治体でもワンセットで仕事をさせる財源補てんの仕組みとなっており、これは小規模自治体の数が多いだけ、必要な財源がかさむことになる。

しかし、根本は、地方交付税制度自体にあるのではなく、各省庁が、個別法で自治体に仕事を義務づけていることにある。これにはナショナルミニマムとか全国的な統一性・公平性の確保という大義名分がついている。自治体側からすれば、国が仕事を義務づけるなら、それに必要な金は保証すべきであるということになる。

実は、分権委は、個別法の義務づけ規定を見直したわけではない。個別法の規定を「しなければならない」や「するものとする」から、できるだけ「できる」とへ変更し、自治体の選択の幅を拡充し、その分はできるだけ地方税でまかなえるように国税と地方税の再配分を行い、それでも財源が不足する自治体に交付税交付金を配分するという風に考えるべきである。仕事の義務づけをそのままにして置いて、あたかも交付税が自治体の財政を放漫にさせているか合併の促進を阻害しているとかの論を唱える「有識者」(不見識者)がいるが、改革のターゲットは個別法による仕事の義務づけである。これは、長い間の「格差是正」の考え方を見直すことにも通じている。第2次分権改革は必至である。