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個人住民税の均等割

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年5月22日

千葉大学法経学部教授 大森 彌 (第2315号・平成12年5月22日)

個人住民税の均等割の標準税率は3区分になっているが、「その他の市及び町村」は、昭和25年度が400円、昭和26年度が300円、昭和29年度が200円、昭和51年度が700円、昭和55年度が1,000円、昭和60年度が1,500円、平成8年度が2,000円である。ちなみに、都道府県は、昭和29年から、それぞれ100円、300円、500円、700円、1,000円である。いずれも制限税率はない。平成10年度では、都道府県では超過課税の実施団体はないし、その税収は474億円である。市町村では、一市一九町村で超過課税を実施、税収は全部で1,173億円である。いずれも、均等割の税収比率は個人住民税収入額の2%以下である。

上の金額は年額である。標準税率は引き上げられてきたが、均等割のあり方について再考の時期ではないかという意見が出始めている。まず、いったい、この額は何を基準に設けられているのか不明である。時系列的には従前の金額が比較考慮されているようだが、それが妥当かどうか分らない。第2に、課税制限がなく、超過課税ができることになっていることから考えると、この金額は単なる標準であり、各自治体の裁量で決め得るはずである。しかし、市町村の超過課税分は統計的には億の単位ではゼロで出てくる程度の少額である。第3に、人口段階の3区分間で現行では500円の差になっているがそれはどうしてか、また、なぜ都道府県が1,000円なのか、第4に、均等割は、世帯にかけられ、いわゆる専業主婦は払わないが、不合理ではないのか。

所得割との関係を含め、市町村の課税自主権の発揮の観点から均等割について根本から検討し、市町村から改革提言が出てきてしかるべきではなかろうか。標準税率は引き上げられるだろうが、国に任せておけばよいというものではなかろう。