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二〇〇九年対策を急げ

印刷用ページを表示する 掲載日:2002年3月4日

評論家 草柳大蔵(第2390号・平成14年3月4日) 

合併した町村も独立宣言をした町村も7年後の2009年には同じ運命が待ち受けている。この年、大学の収容人員数と入学希望者数がほとんど一致してしまうのである。少子化が進んで、世界に例をみない“大学全入”という珍現象が出現するわけである。

こうなれば「大卒」なんて珍しくなくなるから、各大学はいまから「大学院」の設置に大忙しである。自治体の職員も、もちろん、うかうかしていられないだろう。

第1。これからの自治体に求められるものはNPM(ニュー・パブリック・マネージメント)である。早い話が、市場原理を導入して、能率・経済性・有効性を追及するのが眼目となってくる。こうなると、いわゆる“お役所仕事”は厳しい評価の対象になる。つまり、VFM(ヴァリュー・フォー・マネー)という物差で業績や成果が点検されるから、政策立案の段階から精緻化が要求され、しかもその後に続く施策評価、事務事業評価まで、一応は試算して視野に入れておく必要があるだろう。

第2。「大卒」のままでいると、2009年をきっかけに、祈しく役所にくる後輩が「大学院卒」で、豊かな知識や技法を身につけたものが多くなり、使いにくいという問題も出てくるに違いない。

このような流れが読める以上、いまから自治体の中の政策立案能力を高めるため、近くの大学院に出向させる、夜間の大学院で勉強させる、BSを使った大学院通信講座を公費で受けさせるなど、所内研修に積極的な道をひらくべきだろう。

第3。少子化のもうひとつの問題は、小・中学校の校舎の後始末であろう。すでに老人ホームなどに転用しているところがあるが、私は社会的実効性が高いのは、4月から始まる総合学習時間を利用して、作業場・実験場・団体訓練用のジムなどに作りかえることだと思う。そのための設計は住民コンペにしたい。