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ほんとうの子どもたち

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年7月10日

ほんとうの子どもたち

評論家 草柳大蔵(第2321号・平成12年7月10日) 

生きとし生きるものにとって、森林がどんなに大きな寄与をしているか、誰もがわかっていながら、日本の森林は「成長会計」という物尺によって、人々の関心から遠い存在になっている。地方交付税の中でも交付される順番が低い対象になってもいる。いっそのこと、森林を地方交付税の枠から外して、独自の対象にしたらどうかと、森林を抱える中山間地帯の自治体が集まってできたのが「森林交付税創設促進連盟」である。そこの広報委員会が『森林スクラム』という情報誌を出しているが、今年の夏季号で作文コンクールの結果を発表した。題して「ふるさとの森」。

最優秀作1篇、優秀作3篇、佳作10篇が全国の小・中学校から応募された54篇の中で誕生した。入選作を全部読んで胸が熱くなった。少年犯罪がおどろおどろしく取り上げられているが、とんでもないことで、自然の豊かな日本の子どもたちは素直な心を持っていた。森の中の生命に目を見張り、森の風に甘い匂いを感じ、森に声のあることを知っていた。そのような身体感覚を森の中で目覚めさせたのは、子どもたちの父母でありきょうだいであり営林局のおじさんであり森と海の関係を研究している学者先生だった。最優秀作の村瀬有紗ちゃん(今治小学校5年)はお姉さんやお父さんと近くの山にゆく。

「木は、空に向かって酸素を出して(太陽に)恩返しをし、地面の中ではいろんな生き物を養って、地球に恩返しをしているというのです。空と木の根っこから栄養をもらうばかりではなく、ちゃんとお返しもしているというのです。木に比べたら、人間はどんな恩返しを地球にしているのでしょう」

「やっと新しい仕事が見つかった」という父に随って群馬県から山梨県へ移住したぼく(嶋田修一郎くん・玉穏町立三村小学校4年)は営林局のおじさんと玉原高原にゆき、「夏休みで最高の1日」を過ごす。「森の中では、みんながとてもやさしい心になれる。これがみんなのふるさとの森」と書き「ありがとう」で結んでいる。是非、ご一読を。