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「自治会役員という名のボランティア」の仕事

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月6日

作新学院大学経営学部特任教授 橋立 達夫 (第2962号・平成28年6月6日)

昨年、このコラムで「新米防災担当役員の苦悩」と題して、地域自治会の役員になったことの顛末を書かせていただいた。ところがなんと、今年度は自治会長に選ばれてしまった。

千戸3千人ほどの新興住宅地、といっても居住歴は30~40年の住民が多く、高齢化率は約30%、後期高齢者が4百人もいる。それでも自治会加入率は約九割、毎年の祭りや小学校区での市民体育祭、 敬老行事も執り行う。

さて、自治会長の役割は、自治会内の仕事以外に、社会福祉協議会、青少年育成委員会、地区スポーツ振興会に宛職の理事として出席するほか、学校地域協議会、高齢者福祉施設の運営懇談会、 中学校区の自治会連合会、さらに広域の連合自治会、地域自主防災組織、避難所運営委員会、警察との懇談会、そして小中学校の入学式、卒業式、運動会への出席など盛りだくさんである。 もちろん自治会内の定例役員会、祭りや体育祭の実行委員会とそれらの本番、防災訓練、自治会館の運営委員会もある。行政や銀行、周辺自治会、企業などとの関係についても表に立つことになる。 加えて自治会には市役所等から依頼される、回覧物の授受・配布、ゴミステーションと防犯街灯の管理、公園清掃、防犯パトロール、通学児童や一人暮らし高齢者の見守りなどがあり、それを統括する。 もちろん、地域内の日常的業務については、役員が手分けして行っているのだが、いずれにしても、「自治会役員という名のボランティア」が行っていることに変わりがない。

しかも、これだけ仕事をしても課題はまだまだ山積している。実効性のある防災・減災対策、子育て支援、高齢世帯への給食サービス、 さらにいえば行政に頼らない地域自治を実現するための資金調達を可能にし、地域の暮らしをより快適にするためのコミュニティビジネスの起業。やるべきこと、やりたいことはいくらでもある。 自ら考え実行するまちづくりを進めるために、これ以上、行政から依頼される地域自治会の仕事が増えないことを願うばかりだ。