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一年の計 地域の誇りを軸に暮らしを立てる

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年1月7日

一年の計 地域の誇りを軸に暮らしを立てる

作新学院大学総合政策学部教授 橋立 達夫 (第2824号・平成25年1月7日)

どういう訳か選挙期間中にこのコラムを書くことが多い。3年前は真の民主化に向かって平成維新が実現するかと期待したが、その後の展開は悲惨なことになった。前政権の崩壊は、マニフェストが間違っていた訳ではなく、小沢裁判に象徴される旧勢力の巻き返しと、その後の未熟な政治運営によると私は考えている。しかし社会の中に醸成された政治への不信感はあまりに大きい。今回の選挙でも維新が争点になったが、その維新は前回の失敗に懲りて反動の方向に進み、まるで富国強兵に走った明治維新に逆戻りのような有様である。

さて、新年号であるから、気を取り直して前向きのことを考えよう。農山漁村で暮らすことの歓びや誇りについてである。郷土料理、神楽や農村歌舞伎などの伝統芸能、美しい景観。こうした公共の財産を守り育んでいるという誇りは地域で暮らし続ける力の源である。そして今年は、こうした誇りを軸に生活を支えるビジネスを立ち上げることを考えよう。郷土料理や伝統芸能、景観がビジネスに結びつくのかと疑念を持つ方もあると思うが、世界に目を向ければ、このような本物の文化が「国の光を観る」という本来の意味の観光資源として貴重なものであることが理解できる。人口減少は一人当たりの資源増加につながると考えよう。空き店舗や空き家、耕作放棄地は地域改革の苗代である。長寿も誇るべきことである。年金に支えられている農山漁村の暮らしは恥ずべきことではない。年金だけでも暮らしていけるのは農山漁村の力の証であると考えてみよう。

誇るべき資源がどうしても見つからなければ創ることを考えよう。高齢者向きの産業=「葉っぱビジネス」を立ち上げた徳島県上勝町、ゆず産業を軸に自然豊かな村の暮らしを資源に変えた高知県馬路村。発展の芽は必ずや地域に内包されている。今年の一年の計は、地域の誇りを見出し、それを軸に暮らしを立てる方策を考えることにしませんか。どの政党が政権を握っても突き進みそうな道州制と大都市中心の政治、そしてTPPにも打ち勝つ内なる力を、今から鍛えておきましょう。