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まちづくりの宝箱

印刷用ページを表示する 掲載日:2011年9月26日

作新学院大学総合政策学部教授 橋立 達夫 (第2774号・平成23年9月26日)

北海道から沖縄まで、全国のまちづくりに関わる仕事をさせていただいて44年になる。当初はまだ「まちづくり」という言葉さえなかった時代だったが、すでに昭和30年代初頭から近代のまちづくりの原点とも言うべき岩手県沢内村での村民の命を守る取組みが始まっている。その後、福島県三島町の「ふるさと運動」、愛知県足助町の「三州足助屋敷」と「百年草」、「工芸運動」、町田市の「23万人の個展」、大分県湯布院町の「クアオルト構想」、北海道池田町の「十勝ワイン」、大分県大山町の「NPC運動」、遠野市の「トオノピア」、長野県浪合村の「トンキラ光農園」、栃木県茂木町の「茂木シャインズ」と「美土里館」、長浜市の「黒壁」、長野県栄村の「田直し事業」と「下駄ばきヘルパー」、高知県馬路村の「ゆず加工」、熊本県小国町の「悠木の里」と「コミュニティ・プランニング」、横浜市の「都市デザイン」、愛媛県内子町の「街並保存」、「村並保存」と「からり」、宮崎県綾町の「照葉樹林文化」、水俣市の「環境モデル都市」、掛川市の「生涯学習都市」、米子市の「田園プロジェクト」、北海道ニセコ町の「まちづくり基本条例」、徳島県上勝町の「いろどり」、人吉市の「ひまわり亭」、福島県矢祭町の「合併しない町宣言」、最近では鹿児島県串良町の「やねだん」、村上市の「町屋のお雛さま巡り」、岩手県東和町の「新長屋こっぽら」など、全国のキラ星のようなまちづくりの事例に行き会ってきた(注)。

これらのまちづくりの素晴らしいところは、それぞれの活動の軸になる精神がしっかりとして揺らがないこと、そしてその結果、現在も連綿と受け継がれているところである。山梨の宝石商の新人研修では、ヨーロッパに連れて行き徹底的に最高級の宝石だけを見歩くのだという話を伺ったことがある。これらのまちづくりの輝く宝石を、できれば現地で体感することで、心の眼を磨くことができる。またそれを語り継いでいくことが私の世代の務めであると思う。

(注)すでに合併により町村名がなくなったところもあるが、敢えて合併前の町村名で記述した。