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伝統芸能「祭り」の火を継ぐ

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年10月24日

フリーアナウンサー 青山 佳世(第3218号 令和4年10月24日)

ようやく人々の生活が戻り、各地でイベントや祭りが再開されています。2年間の静けさの中で待ち構えていたかのように勢いが増しています。

10月8日(土)~9日(日)の2日間、山口県で第30回地域伝統芸能全国大会が開かれました。2年間の中止を経ての再開であるとともに、30年の歴史に幕を閉じる最終回でもありました。その土地に行かないと見ることのできない地域伝統芸能「祭り」を1年に1度、全国の祭りを一堂に会し、多くの人にお披露目することで伝統を継承するという貴重な機会でした。毎年様々な表彰が行われますが、中でも、地域に伝わる芸能を次世代につなぐ「奨励賞」は感動的でした。今年は愛知県に伝わる、高さ9mの梯子の上で獅子舞を踊る祭りでした。高校生から24歳の、見た目は今どきの若者たちですが、いったん獅子を纏うと躍動感が溢れ、アクロバットのような動きで自由自在に舞う見事な祭りの担い手です。会場からは驚きと感動で拍手の嵐でした。伝統を頑なに守ること、一方で継承のためにそれぞれの地域ごとに行っていた祭りの日にちを合わせたり、踊りを合わせたり、地域の中だけで担ってきた祭りを外国の方も含めた「よその人」を入れることで活気につなげるなど、様々な取組が進んでいました。

いよいよ全国旅行支援も始まり、海外からの観光客も再び訪れることになった今、各地に伝わる伝統芸能が大きな魅力になることは間違いありません。諸般の事情で最終回となった「日本の祭り全国大会」ですが、どこかでその志を受け継いでいただきたいものであり、各地を訪れる時に祭りに声援を送っていただくことも継承にエールを送ることになるはずです。