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鬼は外!福は内!コロナ外?

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年2月7日

フリーアナウンサー 青山 佳世(第3188号 令和4年2月7日)

立春、二十四節気の最初の節目を迎えました。コロナに右往左往したこの2年ですが、もう惑わされることなく進んでいきたいものです。

私はもともと話すことが仕事でしたので、エッセイなどの文章を書くときも「語る」ように文字に置き換えることをモットーにしてきました。話をするときは、顔の表情、声の抑揚、身振り手振りも含めて体全体で表現するようにします。語るように文章を書くとひらがなが多くなって、紙面に間が抜けてしまいます。かといって簡潔な表現にするとつまらない文章になってしまい、表現力のなさに愕然とします。コロナ禍で対面の会話が少なくなり、メールのやり取りが多くなると、文字だけで真意を伝えることがいかに難しいかを実感する場面が増えてきました。少しでも柔らかく優しく表現するために!(感嘆符)?(疑問符)に気持ちを託して表現します。ことに女性の手紙やメールには、符号や絵文字が駆使され見た目にも華やかでカラフルな文面になっています。以前は男性の文章では、あまり符号を見かけませんでしたが、最近は老若男女問わず符号を使う人が増えています。声の抑揚や語尾で表現する相手への思いやりや、喜び、歓迎、注意などの思いを文章の中に短い表現で込めたいという気持ちの表れではないでしょうか。

今年1月に約70年ぶりに文化審議会国語分科会から「公用文作成の考え方」が建議されました。恥ずかしながら公用文作成について、こういう手引きがあるということを初めて知りました。誰に伝えたい公用文であるかでわかりやすい表現に変えることや、広報や一般の人向けの文章に符号(例えば!や?)を使うことができると明文化されました。かつて審議会の場で「一般国民にはわかりにくい言い回しですね」とコメントしたことが何度もありましたが、こういうルールに則って苦労されて書かれたものだったのですね!

公用文の書き方も時代に合わせて選択肢が増えることは時流に即しているといえますが、読み手によっては伝わりにくく、逆にわかりやすさを求める余り、ふざけた感じだと受けとられることもあるはずです。担当の方はターゲットをしっかり掴んでどのような表現を選ぶか、より頭を悩ませることになったともいえます。

今回は国家公務員向けの公文書作成の考え方として各府省へ周知されますが、その先は地方自治体へも浸透することが期待されています。既に、広報やSNSなどの媒体で住民向けに伝える場合には、独自の感性で採用している場合もあるでしょう。

これからはそれぞれの自治体が考え抜いた独自の政策や方針をどのような表現方法で住民へ伝えていくか、楽しみに見守っていくことにいたしましょう!(期待を込めての!です)