國學院大學教授 西村 幸夫(第3171号 令和3年8月30日)
コロナ後にわたしたちはどのような世界に生きていくことになるのだろうか。
多くの人はコロナ前のような時代とは異なった生活様式が定着するに違いないと言う。しかし、マスクから解放された途端に、それまで鬱屈していたものをすっかり忘れ去り、希望に満ちた毎日を過ごすことになるのではないか。むしろ、コロナの中で規制されていたためにやれなかった行動を、これまで以上に追い求めるということも起きるかもしれない。
その際、確実に起きることのひとつに外国人が戻ってくるということがある。
2020年12月に日本政策投資銀行と(公財)日本交通公社が行った訪日外国人旅行者調査によると、コロナ後に海外旅行したい国のトップはアジア居住者・欧米豪居住者ともに日本だった。アジア居住者では、日本に次いで韓国・台湾・豪・タイの順となっており、欧米豪居住者では、日本に次いで米・加・豪・英の順となっている。
前回の2020年6月調査と比較すると、コロナの影響が長引いているせいか、全般に海外旅行への希望は増加している。なかでも日本希望は他の国と比較しても増えており、特に欧米豪居住者においては24%で米に次いで2位から、36%と大幅に伸びて1位となっている。アジア居住者にとって日本はいずれもトップであるが、希望は56%から67%へと拡大している。
特徴的なのは受け入れ環境として、清潔だから、治安が良いからという点がいずれの地域の居住者にも飛びぬけて高く評価されている点である。これはカナダに対する評価とよく似ている。コロナの記憶を抜きにしても、こうした傾向はさらに強まるだろう。
これに自然観光地への志向も以前より高くなっていることも合わせると、今後、日本の町村にも外国人の数が増えていくことは容易に想像がつく。今は、それに向けた準備期間でもある。外の目から見ても選ばれ続けるための地域の魅力の再確認作業が望まれる。