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マスク顔で 日本を味わう

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年11月2日

フリーアナウンサー  青山 佳世(第3139号・令和2年11月02日)

一度お会いした方の顔は忘れないと自負してきた私も、「マスク顔」が日常となった今、初対面の方が「マスクなし顔」になった時にわかるかどうか自信がありません。顔の印象を穏やかにする一つの方法は、口角を上げることです。口角がへの字に下がっていると不機嫌に見えてしまいます。ところが、顔の半分しか見えないとなると、目だけで表情を作らなくてはなりません。よく顔が笑っていても「目が笑っていない」「目は口ほどにものを言う」というように目の表情に気を使うことが大変重要になりました。

コロナ禍の中でも、リモート技術のおかげで顔や表情を見ることができて随分助かりました。

精神的にも物理的にも活動再開に出遅れ感のある東京の人間も、ようやく各地へ移動できるようになりました。その代わりお世話になった方や地域に絶対ご迷惑をお掛けするわけにはいかないと、飲み会自粛、感染症対策はしっかり心がけています。

Go Toトラベルも10月から東京が加わりようやく全国展開。個人の旅行に税金を投入することにはさまざまなご意見がありますが、少なくとも人々が実際に動き、賑わいが出てきたことは大きな成果です。旅行者、ことに高齢者にとっては手続きが面倒で敷居が高いこと、事業者の方も説明や手続きが煩雑で大変なこと、課題は多いです。でも始まった制度ですから、自粛のご褒美に各地を訪れ、地域共通クーポンは疲弊した地域や公共交通機関、三密ではない場所、地元の商店や土産物を買うことに使って、少しでも地域のお役に立てるようにしたいものです。行く側も迎える側も感染リスクは「怖い」けれども、十二分に対策を講じた上で久しぶりに訪れた瀬戸内の島々。マスク顔ながら、お互い喜びは隠せません。真っ青な空と海の色、今年就航したばかりの広島港と松山港を結ぶフェリーは、フェリーのイメージを変えるオシャレなデザインで、心地よい風が吹きぬける、まさに自然の換気の行き届いた安心の環境の中で船旅を楽しむことができます。新型車両の観光列車、小型の瀬戸内クルーズも続々登場、「MAAS」(Mobility as a Service)と呼ばれるICTを活用して移動をつないだサービスにより、さまざまな観光や移動の情報を提供し、予約購入出来る仕組みが出来上がっていました。町村や島々、遊び・体験・文化など幅広いジャンルを結んでいます。事業的には厳しい状況ですが、やがて大勢のお客様が戻ってくる時のための準備は着々と進んでいます。日本人が、ゆっくり日本の良さを堪能できるのは今しかないかもしれません。またとない「お試し」旅として、息の長いリピートファンを増やせるように、この機会を逃さず有意義に捉えて欲しいものです。