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九州豪雨災害とまちづくりリーダー

印刷用ページを表示する 掲載日:2020年8月3日

新学院大学名誉教授・とちぎ協働デザインリーグ理事 橋立 達夫(第3128号 令和2年8月3日​)

連日の九州豪雨災害のニュースを見ながら、この原稿を書いている。すでに災害発生から1週間になろうとしている。九州の各県内には、全国屈指のまちづくり先進地があり、多くの方々が活躍されているが、今、そうした地域のほとんどすべてが甚大な豪雨被害に遭っている。心配である。

熊本県人吉市の「ひまわり亭」は、目の前を流れる球磨川の氾濫によって2mも浸水する大きな被害を受けた。本田節さんは、この郷土の家庭料理レストラン「ひまわり亭」を拠点に、「食」を核としたまちづくりを展開しておられ、その薫陶は九州はもとより、全国に広がっている。現在はご自身の被災にもかかわらず周辺被災地への炊き出し等の支援に奔走されていると伺う。本当に頭が下がるが、ご心労はいかばかりであろうか。

九州にはその他にも、ダム建設による水没を回避し国内有数の温泉保養都市となった大分県由布市の湯布院町。湯布院と並び大分の一村一品運動の双璧となったNPC運動の大山町(現・日田市)。「コミュニティ・プランニング」でワークショップ型のまちづくりとグリーンツーリズムの先端を走る熊本県小国町。深刻な公害被害を教訓として環境先進都市となった水俣市。熊本県内では黒川温泉の南小国町、「時代の駅むらやくば」の山江村も名高い。照葉樹林文化を軸に有機農業の先端を走る宮崎県綾町や、ワーキングホリデーで有名な西米良村。「感動と共感のまちづくり」で、人口のV字回復を達成した鹿児島県鹿屋市串良町の「やねだん」。さらにその他にも、長崎県佐世保市、小値賀町、大分県日田市、佐賀県嬉野町など、素晴らしいリーダーが居られ特色あるまちづくりが進む地域がある。

これらの地域はいずれも大きな被害を受けているが、日頃のまちづくりで培われた人のつながりの中で、リーダーの方々も復旧復興の先頭に立って活動をされておられるのであろう。本稿が掲載される頃には長い梅雨も明けているであろうが、被災地の復旧復興には長い時間がかかることが予想される。コロナ禍で動きの取れない遠隔地からではあるが、どのような支援ができるかを考え、実行していきたい。