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誰もが安心して移動したい!

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年11月5日

フリーアナウンサー  青山 佳世(第3060号・平成30年11月5日)

空飛ぶタクシー、空飛ぶトラック、少し前まで映画の世界かと思っていたことが現実味を帯びてきた。自動運転も、各地で公道での実証実験が行われるようになっている。

年配の知人は、重たい荷物が持てないので、危ないことを承知で自動車や自転車に乗り続けている。家族は心配してやめるよう繰り返し注意するが、頑として聞き入れない。歩いて買い物や、毎日タクシーを使うのも酷である。そんな中、自動運転で、買い物や病院へ気軽に移動できるようになったら本人も離れて暮らす家族もどんなに安心だろうとつくづく思う。

自動運転といっても、車を高度化する事で人間の運転を支援するもの、完全自動運転(運転手をおかない)で、限定されたエリアを遠隔管理しながら運行をサポートするシステムなど世界のメーカーや研究者がしのぎを削りながら実用化に向けて開発が進んでいる。

後者の社会実験に参加した住民たちからは、「免許は返上したけど、こういう乗り物があったら自由に買い物に行ける」「万が一暴走することはないの?」などの声が上がった。

新しい技術への興味とともに、自分が運転できなくなったときの切実な不安が感じられる。

夢膨らむ先端技術だが、新しい技術には不安がつきもので自動運転機能は常に正確に働くのか、天候や、人間のアイコンタクトのような微妙な判断ができるのか、まだまだ課題は多い。

現在次世代交通の安全確保のための保安基準の審議が進んでいるが、自動車の開発と同時に、その後の安全担保のための審査、点検、整備が重要になってくる。電子的な手法に変わってくるため、検査官や整備士に求められる技術や知識も変化し対応が求められ、全国どこでも利用者がサービスを受けられるような対応もしなくてはならない。

地域の中の信号や町の状態を車に把握させ、自動認識しながら走行、危機管理は遠隔で行う仕組みは、車の高度化と、人間の使いこなしが必要となる現実的な社会インフラそのものだと思う。

国土保全の側面でも重要な役割を持つ中山間地域での生活には、公共交通機関、もしくは自由度のある移動の確保は最重要課題となるだけに、一日も早く実用化に向けて動いて欲しいものだ。各地で出来るだけ多く社会実験・試験運行の機会を重ねて、技術開発とともに、私たち人間の意識や動きも慣らし変えていく必要があるだろう。新しい技術と発想に、私たちの生活も大きく変わろうとしている。不安もあるが楽しみだ。