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沖縄県西原町/「文教のまち 西原」~歴史を紡ぎ、未来を拓く、町民が夢を持てるまちづくり~

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年10月5日更新

​中城湾上空から望む西原町

▲湯沢町を走る上越新幹線


沖縄県西原町

3375号(2026年10月5日)
沖縄県西原町 総務部 総務課


西原町の概要とまちの歩み

運玉森の美しい稜線を望む

 西原町は、県都・那覇市の北東約10km、沖縄本島中部の東海岸に位置する面積約16km²のまちです。南側には標高158mの運玉森(うんたまむい)が美しい稜線を描き、豊かな自然と歴史が調和しています。町名は、琉球王国時代に首里城の北方(方言で北を「ニシ」と呼ぶ)に位置していたことに由来し、古くから王府の直轄領として穀倉地帯の重要な役割を担ってきました。

 明治41年に県内初の近代的な機械を備えた分蜜糖工場が設置されるなど、近代にかけてはサトウキビを中心とした糖業で発展を遂げました。昭和54年の町制施行以降は、道路網の整備が進み、臨海部への製造業の工場集積や大型商業施設のオープンなどにより都市化が急速に進展しました。人口は令和8年4月末時点で35,452人を擁し、県内でも活力あるまちとして発展を続けています。

 本町では、町民、議会、行政がそれぞれの役割と責任を自覚し、互いに協力し合う協働のまちづくりを進めるための最高規範として「西原町まちづくり基本条例」を制定しています。この条例では、まちづくりの基本方向として「平和で人間性豊かなまちづくり」「安全で環境にやさしいまちづくり」「健康と福祉のまちづくり」「豊かで活力のあるまちづくり」という4つを掲げています。町長自らが先頭に立つトップセールスのもと、町民参画による「文教のまち西原」のさらなる深化と発展をめざしています。

1.歴史・文化と平和を次世代へ継承するまちづくり

▲左:国指定史跡「内間御殿」 ▲右:我謝大綱ひき

 本町は、琉球王国第二尚氏王統の始祖・金丸(のちの尚円王)ゆかりの地です。国指定史跡である「内間御殿(うちまうどぅん)」は、地域の信仰と生活を支える聖地として重要な役割を果たしてきました。この歴史的資産を将来へ継承するため、現在、整備基本計画に基づき「東江御殿(あがりーうどぅん)」の石牆(せきしょう)整備を進めています。また、町内の文化財を案内できる歴史ガイドの育成に取り組み、ガイドを活用した地域散策事業「邑廻(むらみぐ)い」や「歴史の道を歩く」事業などを展開し、地域資源の再発見に努めています。

 さらに、戦後復興の心の支えとして受け継がれてきた「綱ひき」や「むらあしび(村遊び)」といった伝統行事が町内各地域で盛んに行われており、その保存・継承を支援するとともに、南米やハワイなどから海外移住者子弟の研修生を受け入れるなど、国際交流の推進にも力を入れています。

 一方で、本町は沖縄戦の激戦地として、当時の住民の約半数が命を落とした悲惨な歴史を持ちます。慰霊碑「西原の塔」や町指定史跡「旧西原村役場壕」は、先人たちの過酷な体験と平和の尊さを今に伝えています。この歴史的教訓を風化させないため、6月の平和月間における西原町戦没者追悼式や平和資料展の開催をはじめ、関係団体と連携した音楽イベント「平和の約束」の開催、平和の語り部アーカイブ映像の保存・活用事業を実施しています。また、沖縄戦の犠牲となった方々を追悼し、平和を願う歌「月桃」の歌詞が刻まれた「月桃の歌碑」など多様な資源を活用し、「西原町非核反戦平和都市宣言」のもと、町民の平和意識の高揚と恒久平和の実現に向けた教育を行っています。

2.「文教のまち西原」を支える教育環境と人づくり

▲左:西原高校マーチングバンド ▲右:バレーボールのまち西原宣言碑

 昭和52年から昭和59年にかけて、那覇市の首里城跡地にあった琉球大学が本町へ移転してきたことは、西原町にとって大きな転換点となりました。昭和57年には、町はこの一大事業を契機に、「文教のまち西原」を将来像と定め、以来、県内有数の教育拠点として発展を遂げてきました。現在、町内には琉球大学をはじめ、沖縄キリスト教学院大学などが立地し、幼児教育から大学まで恵まれた知のネットワークが形成されています。

 学校教育においては、児童生徒の確かな学力向上のため、GIGAスクール構想をさらに推進し、電子黒板の年次的な更新をはじめとするICT環境の充実と、それらを活用した授業づくりに努めています。また、特別支援教育を担う教職員に対して専門的な指導・助言を行う「特別支援教育アドバイザー」の各学校への配置や、不登校児童生徒のための「校外自立支援室」新規設置など、誰一人取り残されない多様な学びの場を保障しています。

 学校部活動においては、バレーボールやマーチングバンドが伝統的に盛んで、全国レベルの活躍は町民に大きな勇気と感動を届けています。

3.トップセールスによる財政健全化と協働による行政運営

 「西原町まちづくり基本条例」に基づく協働のまちづくりを実践するためには、町民への分かりやすい情報共有と、持続可能な行財政基盤の確立が不可欠です。

 本町では、町長自らが国や県、民間企業へ積極的に足を運ぶ「トップセールス」を展開しています。これにより、西原西地区土地区画整理事業や基幹道路網の早期完了に向けた財源を確保するとともに、企業立地環境の整備による企業誘致の促進、町内雇用の拡大に取り組んでいます。また、ふるさと納税の推進体制を強化し、返礼品の拡充を図った結果、前年度実績の倍以上の寄付額を集めるなど、自主財源の確保に確かな成果を上げています。加えて企業版ふるさと納税の活用にも積極的に取り組んでいます。

 同時に、長引く物価高騰への対応として、国の地方創生臨時交付金等を活用し、「地域消費喚起型商品券」を発行し、町民の経済的負担を軽減するとともに、町内事業所での消費を促し、地域経済の好循環を生み出しています。また、マイナンバーカードを活用したコンビニ交付の拡大や、オンライン口座振替手続きの導入など自治体DXを推進しています。町民がまちづくりに興味を持ち、参加しやすい環境を整えるとともに、窓口業務の改善を図り、きめ細かな住民サービスの提供に努めています。

4.まちの未来を拓く大型プロジェクトと都市基盤整備

西原西地区区画整理事業イメージパース

 沖縄県の観光産業において、西海岸に並ぶ新たな柱として東海岸地域の活性化が急務となっています。その起爆剤として、西原町と与那原町に跨るマリンタウン地区への「大型MICE施設」の整備が決定しています。現在は、PFI(民間資金活用)方式を盛り込んだ計画のもと、早期の再入札公告と事業着手が強く期待されています。本町では、大型MICE施設の供用開始を見据え、後背地にあたる小那覇地区の観光商業地域としての都市基盤整備を検討するなど、「アフターMICE事業」の展開に向けた受け入れ態勢の強化を進めています。

 また、本町の未来を描くうえで欠かせないもう1つの重要施策が、琉球大学医学部および同附属病院の移転に伴う跡地利用です。広大な跡地の有効活用は、次世代の西原町のまちづくりを大きく左右する一大プロジェクトです。新たな地域活性化の拠点として機能するよう、国や県、大学など関係機関と緊密に連携しながら、未来を見据えた跡地利用の検討を積極的に進めています。

5.豊かな資源を活かした地域産業と観光の振興


 本町の観光分野では、約550mの美しい白砂が広がる「西原きらきらビーチ」が人気を集めています。海水浴はもちろん、バーベキューやビーチバレー、ビーチサッカーのほか、バナナボートや水上バイクなど各種マリンスポーツなどさまざまなアクティビティが楽しめます。遊泳期間は監視員が常駐し、クラゲネットも設置されているため安全に海水浴を楽しめるビーチとなっています。

西原まつりでの旗頭ガーエー

 地域の行事も多彩で、町を代表するイベントが「西原まつり」です。最終日のクライマックスで披露される壮大な歴史ショー「尚円王琉球絵巻」や大迫力の旗頭一斉ガーエーは、観光客を含む多くの来場者を魅了します。また、西原町青年連合会が中心となって開催する「さわふじ青年エイサー祭り」も地域活性化のみならず、青年会活動の活性化と伝統文化の継承につながっています。

 さらに、豊かな特産品も自慢で、昔ながらの甕仕込み製法で造られた「甕仕込泡盛」、沖縄を代表するグルメ「沖縄そば」、沖縄独自の食文化を支える「島豆腐」のほか、健康志向に応えるスーパーフード“モリンガ”の加工品「モリンガ茶・パウダー」、沖縄の定番お菓子「紅芋チップス」「紅芋タルト」「塩せんべい」などが人気です。

西原さわふじマルシェ

 こうした豊かな特産品が一堂に会し、西原町の歴史や文化などが学べる農水産物流通加工観光拠点施設が「西原さわふじマルシェ」です。この施設には、新鮮な地元食材や特産品が揃うJAおきなわファーマーズマーケット「うんたま市場」や、歴史・文化や観光情報の発信拠点「西原劇場」、地元食材を使った料理を提供するレストランや屋外店舗が集積し、町の活性化の核となっています。

6.切れ目のない子育て支援と、誰もが輝く共生社会の実現

「西原こども園」の開園

 少子高齢化が進行する中、安心して出産・子育てを行える環境づくりは最重要課題です。令和8年度の目玉として、長引く物価高騰で負担が増す子育て世帯を支援するため、国の交付金を活用し、町立小中学校の「学校給食費の完全無償化」を実施し、栄養バランスのとれた食事の提供を進めています。さらに、こども医療費助成の対象を入院・通院ともに「高校生年代まで拡大」し、保護者の経済的負担を大幅に軽減しています。

 幼児教育・保育環境の充実を図るため、令和5年度から順次、町立幼稚園4園の認定こども園化を進め、今年度はその最終年として本町初の公立こども園である「西原こども園」が開園し、「質の高い教育・保育」の実践を行うモデル園としての役割を担っています。

 また、不妊治療を行う方々への支援として、保険適用外となっている先進医療不妊治療の費用助成を実施し、経済的負担の軽減を図るとともに、妊娠期から子育て期に至るまで、こども家庭センターを中心に切れ目のない伴走型支援体制を構築しています。

 高齢者や障がい者福祉、健康増進においても手厚い施策を展開しています。西原町健康増進計画「にしはら健康21(第3次)」に基づき、新たに40歳から70歳までの女性を対象とした「骨粗しょう症検診の助成」の開始、若年がん患者が住み慣れた自宅で安心して療養できるよう「在宅サービス利用料等の一部助成」を新設、高齢者の加齢性難聴者補聴器購入費助成の増額などに取り組んでいます。また、ミニデイサービス事業である「いいあんべー共生事業」を中心とした地域介護予防活動や地域包括ケアシステムの深化を図り、誰もが生き生きと自分らしく暮らせる地域共生社会の実現をめざしています。

おわりに

 本町を取り巻く環境は、物価高騰や人口減少など依然として厳しい状況にあります。しかし、このような不透明な時代であるからこそ、小規模自治体ならではの機動力と柔軟性を最大限に発揮しなければなりません。

 「西原町まちづくり基本条例」にうたわれる「町民協働」の精神のもと、トップセールスによる強いリーダーシップを発揮し、町民の皆さまの声をしっかりと行政に反映し、必要な施策には積極果敢に投資を行っていきます。先人たちが築き上げた歴史と文化を守りながら、次世代のこどもたちが夢と希望を持てる「文教のまち西原」の実現に向け、西原町はこれからも力強く邁進します。
 

総務部 総務課