
▲日本三大カルストの四国カルスト
愛媛県久万高原町
3371号(2026年8月31日)
総務課
久万高原町は、愛媛県の中央に位置し、面積は583.69km²と愛媛県内最大で、豊かな自然に囲まれた高原の町です。人口は6,500人ほどで、2004年(平成16年)に久万町、面河村、美川村、柳谷村の1町3村が合併して誕生しました。町内には石鎚山や四国カルスト、面河渓といった名所が広がり、棚田や川のせせらぎなど、地域の誇りともいえる美しい原風景が息づいています。また、広大な山林に育まれた林業や、冷涼な気候を活かしたトマトやピーマン栽培を中心とする農業が町の基幹産業として、町民の暮らしを支えています。


新たな挑戦を応援する土壌を作り、個人の夢を地域経済の活力へとつなげる—。町が推進するローカルベンチャー事業は、単なる移住施策を超え、産業と観光が自律的に共創する新たなフェーズへと進化しています。その象徴が、2018年の町主催の起業塾を契機に誕生した中間支援組織およびその活動拠点「ゆりラボ」です。商店街の空き店舗を活用したこの場には、移住者やUターン者が気軽に集い、対話を通じてアイデアを具体化する熱い磁場が定着しています。ここから、ユニークな連鎖が生まれています。「ゆりラボ」を活用してバルやランチ営業に挑んだ移住者の熱意により、一年余りで週6日営業の食堂の実店舗が開業しました。この挑戦が呼び水となり、町観光協会の特産品部会などを巻き込んだ地元とのコミュニティが形成され、地場産の素材を用いた新商品開発なども実現しています。さらにこのネットワークは、移住者と地元の高校生が協働した音楽イベントの開催など、偶発的な賑わいも生み出しています。楽しそうな大人の姿は次世代の刺激となり、多様な関係人口を呼び込む循環が日常のものとなっており、今後も民間と深く信頼し合い、個々の「やりたい」に寄り添いながら、挑戦の文化を次なる未来の産業へとつなげていきます。

複雑化する地域課題に向き合い、足元の恵みを見つめ直しながら未来への道筋を描くため、町民と行政が対話を重ねて10年間の道しるべとなる「第3次総合計画」を策定しました。本計画では、地域の強みや資源を分野横断で束ねて価値を最大化する「スクエア構想」を導入し、「築・栄・栞・植・構」の5つの大樹を柱として、産業や福祉、教育などの施策を一体的に推進していきます。単に事業を並べるのではなく、一人ひとりと「どう在りたいか」を共有し、町の中から灯した小さな熱を確かな未来の力へと育んでいくため、行政と町民が同じ未来を見据えながら、新たな歩みを進めてまいります。

広大な町域に集落が点在するわが町では、地域で安心して暮らし続けるための「移動」を支えることが重要な課題となっています。このため、民間路線バスや町営バスに加え、デマンド型乗合タクシーなど、地域の実情に応じた公共交通サービスを展開しています。また、地域と民間事業者が連携して運行する予約制乗合交通「くまくる 久万高原」の導入など、多様な移動手段の確保を進めています。地域の支え合いと新たな仕組みを融合させながら、誰もが住み慣れた地域で暮らし続けられるまちづくりを進めています。
わが町は、町域の約9割を占める森林が有する豊かな二酸化炭素吸収力によって、既にカーボンニュートラルを達成していることから、令和5年3月にゼロカーボンシティを表明するとともに、2050年以降のカーボンニュートラル継続に向けて、持続可能な森林経営と地域特性に応じた再エネ設備の導入をめざすこととしました。さらに令和7年3月に、脱炭素に向けたまちづくりの基本となる「久万高原町地球温暖化対策実行計画」を策定し、二酸化炭素排出量削減の数値目標や、太陽光発電や水力発電等の導入を、保全エリア、調整エリア、促進エリアに分類して公表しました。再エネ設備の導入にあたっては、自然環境や地域との調和を重視しています。

また、中山間地域ならではの急峻な地形と安定した水量を有するわが町は、水力発電の適地でもあり、令和6年3月には町内7カ所目となる水力発電所が運転を開始しました。建設にあたっては、「再生可能エネルギー発電検討協議会」を設置し、地域住民、農林漁業者、発電事業者、町が協議し、合意形成を図るとともに、売電収入の一部を農林漁業の発展に資する取組の支援に充てたり、久万杉を発電所建屋に活用するなど、地域に利益が循環する仕組みを構築しています。今後も、カーボンニュートラルの継続はもちろん、森林セラピー等、森林の新たな価値を生かしながら、環境と暮らしや産業が調和するまちづくりを進めてまいります。

高齢化や担い手不足により自治会単独での活動が縮小傾向にあるなか、小学校区単位で設立された「地域運営協議会」の組織化が進んでいます。交通、福祉、防災、環境などの生活基盤整備から、移住促進、イベント企画などの地域活性化まで幅広い分野の活動を行い、地域住民の自立支援と持続可能な地域運営体制づくりを進めています。地元の学校や各種関係団体とも連携することで、世代を超えた交流と新たな視点での提案が生まれ、人と人とのつながりが地域の未来を紡いでいます。
久万高原町は、森とともに暮らし、森に支えられて発展してきた町です。 木を育て、使い、循環させる営みは、林業や農業、暮らしの文化として受け継がれてきました。だからこそ私たちは、森と人、人と人とのつながりを「編む」という言葉に、未来への決意を込めました。農業、林業、ものづくり、観光、福祉など、多様な分野が支え合いながら、地域の未来を築いています。「恵みの環」とは、森と人が互いに育み合い、自然の恵みを次世代へつないでいく美しい循環を表しています。「ウッドスクエア久万高原」を合言葉に、地域資源の価値を高め、森・人・産業がともに輝く持続可能なまちづくりを進めてまいります。
総務課