
▲にし阿波いちごタウンPROJECTのロゴマーク
徳島県東みよし町
3362号(2026年6月8日)
徳島県東みよし町
東みよし町は平成18年3月1日に三好町と三加茂町の2町が合併し、新たに誕生しました。総面積122.48km²、人口12,797人(令和8年3月末現在)です。まちの中心には雄大な吉野川が流れ、北は讃岐山脈、南は四国山地の急峻な山々に囲まれ、水と緑に恵まれた豊かな自然を有しています。
また、四国のほぼ中央部に位置し、四国四県への交通の利便性にも恵まれています。町の中央部にはスマートインターチェンジを併設した「吉野川ハイウェイオアシス」を備えており、中四国圏域や近畿圏域との交流・連携に欠かせない拠点となっています。豊かな自然と文化を感じられるまちであるとともに、商業施設や医療機関などをはじめとした住環境も整っており、子どもから高齢者に至る多世代にとって「住みやすい」「環境の良い」まちです。
「ちょうどええ ほなけん 住んどる ~「ずっと住みたい!」を共に創るまち~」をキャッチフレーズとして、この特色を活かし、先の世代へ引き継がれる持続可能なまち創りに取り組んでいます。

産業面では特色ある多数の企業が事業活動を行っています。
浴衣など和装に欠かせない桐下駄を製造している斉藤桐材工業有限会社は、年間7万足と全国一の生産量です。株式会社ビッグウィルは、世界で最も薄い厚さ01.mmの本物の木の紙を製造しています。素材には杉やヒノキなどの間伐材を使用し、環境にもやさしく、木の香りがします。株式会社谷藤ファーム(株式会社にし阿波ビーフ)では700頭を超える和牛を育成しており、阿波牛として販売しています。イスラム教のハラール認証を取得した牛肉も販売し、東南アジアなど海外への販路拡大にも積極的に取り組んでいます。
農業分野では、1年中栽培できるいちご(夏秋いちご・促成いちご)や、あたご柿、トマト、ゆずなどが栽培されています。

標高約1,000mの高冷地での「夏秋いちご(7月~11月)」と、平地での「促成いちご(12月~6月)」を組み合わせた、全国的にも極めて希少な「いちごの周年栽培」が可能な産地となっています。昭和60年に全国に先駆けて夏秋いちごの栽培を開始し、高冷地での夏秋いちごの産地化に全国で初めて成功しました。最近では災害級の猛暑により夏秋いちごの希少価値はさらに高まっており、製菓用を中心に京阪神方面に高単価で出荷されています。
しかしながら、いちご栽培が始まって約40年が経ち、主力となっていた農家も70代、80代となり、高齢化と後継者不足が喫緊の課題となっているのが現状です。

こういった状況から、地域の基幹産業である農業を次の世代に継承するために、長く携わることで得ることができる経験則を見える化し、さらに先進技術を組み合わせることで「安定して稼げる農業」の実現と、職業として選択される農業への進化をめざす必要がありました。
そこで令和3年度から令和7年度まで、地域の高付加価値農業である「夏秋いちご」生産を中心に、先進技術を活用した「知恵」を創出・実装化し、人材育成から地域課題の解決につなげるため、国のSociety5.0実装化エリア創出事業を活用させていただきました。
農業実装化(いちご栽培)として、夏秋・促成いちごハウスにモニタリング機器を設置し、温度、湿度、日射量など、施設園芸ハウスの中での生育に必要なデータを収集し、写真ではわからない細かな作業については動画を作成するなど、初心者でも安定して稼げる「新規就農者いちご栽培マニュアル」を作成しました。
新規就農者としていちご栽培に携わり、マニュアルを活用した稼げる農業を実践していただける地域おこし協力隊を現在募集しています。

Society5.0実装化エリア創出事業の出口戦略としても有益である、徳島県・東みよし町・水の丸いちご生産組合などの官民が参画する「にし阿波いちごタウン構想」コンソーシアムが徳島県主導で令和6年4月に発足しました。
若い就農希望者を受け入れ、全国でも希少な周年いちご産地を守り、地域の再生・活性化を図ることを目的としています。
令和6年11月には、にし阿波いちご塾が開講されました。基礎講習では農業情勢・技術情勢・実用技術を学び、技術講習では民間の栽培現場での実地研修を受講することで、にし阿波地域の農業について学び、いちごの育苗から栽培管理まで身につけることができます。卒業後は、雇用就農やいちご農家として、先輩農家や農業支援センターの支援を受け、稼げる農業をめざして取り組んでいます。
また、インターンシップとして、民間のほ場を活用したいちごの就農体験も行っています。実際に夏秋いちごハウス内で収穫作業や摘果作業などを体験し、民泊を利用することもできます。

東みよし町でも「にし阿波いちごタウンPROJECT」として、「いちごとつくるまちの未来」をキャッチコピーに10年ビジョン・ロゴマーク・キャラクターを作成しました。

また、このプロジェクトに賛同してくれる県内外の企業や金融機関等と連携し、企業版ふるさと納税を募りました。標高約1,000mの高冷地の水源などのインフラ整備、災害級の暑さに対応するための耐暑性に優れた夏秋いちご苗への切り替え補助、老朽化した給液装置の改修(スマート農業技術の導入)への補助など、いちごの安定生産を図るために必要な事業に充当させていただきました。
さらに、国の地域経済循環創造事業(ローカル10000プロジェクト)を活用し、にし阿波いちごタウンPROJECTの核となる施設でもある新規就農者の研修ハウスを兼ねた体験型観光いちご農園が町内に整備されました。交流人口の拡大をめざし、町内外からの観光客を誘致するため、観光交流拠点である吉野川ハイウェイオアシス周辺に位置することで、農業と観光を融合させた新たな賑わいを生み出すことが期待されています。



体験型観光いちご農園が令和8年2月に開園しました。約2,000m²のハウス内には、恋みのり・アスカルビー・おいCベリー・エンジェルエイト・試験品種など、総数約10,500株が栽培されています。オープニング式典のイベントでは、いちご農業の出前授業や農業体験を行った地元小学生約50人を保護者とともに招待し、いちご農家と一緒にいちご狩り体験を五感で楽しんでいただき、人を笑顔にするいちごの魅力を改めて実感しました。
また、全国的に有名な洋菓子店と町内企業のコラボ商品である「いちごのレモンケーキ」のお披露目を行い、ドライいちご入りの、甘くて酸味の効いたケーキに小さな幸せを感じられたのではないでしょうか。

この日のご縁で東みよし町内の小中学校の給食に農園のいちご約2,100粒が提供されることとなり、このプロジェクトを簡単にまとめた動画を視聴しながら、いちご農家から「生まれ育ったこの町にしかない特性を大切にしてほしい」というメッセージに耳を傾け、子どもたちはおいしそうにいちごをほおばっていました。
最後に、東みよし町は四国のほぼ中央にあり「四国のへそ」ともいわれ、都市部からのアクセスもよい立地です。吉野川中流の景勝地である徳島県指定名勝・天然記念物「美濃田の淵」や、国指定特別天然記念物「加茂の大クス」などから、甘い香りに包まれたいちご狩りまで、まるっと体験しませんか。甘々ないちご・甘酸っぱいいちご・白いいちごなどさまざまな品種や大きないちごをぜひご堪能ください。
産業課 栗本 ゆかえ