
▲役場庁舎からの町並み
静岡県函南町
3360号(2026年5月25日)
静岡県函南町
また、本町は、東部地域の中核都市である三島市と国内有数の観光地である熱海市の間に位置し、JR東海道線の函南駅は両隣駅に新幹線停車駅を有するという珍しい立地です。首都圏へのアクセスや近隣市町へのアクセスにも優れ、これまでも近隣中核都市のベッドタウンとして発展してきました。
平成26年の伊豆縦貫自動車道塚本ICの開通を契機に、広域的な交通ネットワークの向上や中心市街地の活性化など、観光・産業の両面において新たな発展の基盤が整いました。「住む」「訪れる」の双方に適した函南町は、まさに“伊豆の玄関口”としての役割を担っています。

▼函南西瓜
温暖な気候と田方平野の肥沃な土壌を活用し、地域の特色を活かした多様な農産物が生産されています。中山間地で生産しているのが函南西瓜。糖度が高く、新鮮な証拠であるツルつきで、鮮度にこだわっています。(マルヒラ)シールが目印のこのスイカは、シャリシャリとした食感とスイカ本来の甘さを味わうことができます。函南西瓜は出荷数が1シーズン約4万玉と少なく、全国には出回りませんが、その美味しさを求め毎年買いに訪れる人や、ふるさと納税の返礼品としてリピートしてくださる方も多くいます。全国には有名な産地のスイカもありますが、ぜひ一度、味わっていただきたい逸品です。

▼農業高校との連携
平野部では稲作とともにトマトの栽培も盛んです。令和7年11月、新たな取り組みとして函南町産100%のトマトを使用した「とまぴよチキンカレー」が商品化されました。イメージキャラクターの募集からお土産アイデアの募集、レシピの開発・完成に至るまで、町内の小中学校と県立田方農業高等学校の生徒の協力により行われました。
農業の価値や将来性が改めて注目されている今、農業高校は少子化にあっても高い人気を維持しています。人口減少による担い手不足により農家数は減少傾向にありますが、町内に農業高校があることは伝統のある農業を後世につなぐ大きな強みであり、将来を担うこども達の若い力や民間企業のアイデア力を活かした取組はまちの活力となっています。

函南町の基幹産業の一つが酪農です。約140年の歴史がある函南町の酪農は、丹那盆地を中心に、酪農家と地域、行政が長年にわたり連携し、支え合いながら築き上げてきました。その歴史の象徴ともいえるのが「畜産共進会」です。酪農家が丹精込めて育てた乳牛の資質を競い合うこの取組は、明治時代から続く酪農の技術向上と品質確保に大きく貢献してきました。令和7年には記念すべき100回目の開催を迎えましたが、100回を超える共進会は全国的にも稀であり、函南町の誇れる歴史です。
そして昭和30年、地域の酪農家たちの「自分たちの家族に安心して飲ませられる牛乳を」という思いから、「丹那牛乳」が誕生しました。酪農家と工場が近く、搾りたての生乳を短時間で加工できるのが最大の特徴で、高い鮮度と品質を維持しています。県東部地域の学校給食にも採用されるなど、地域内外で長く愛され、今や函南町の顔ともいえる存在となっています。
▼函南ブランド
町では、丹那牛乳をはじめとする自慢の逸品を「函南ブランド」として認定しています。令和8年4月現在64品が認定され、認定化により販売を支援するとともに、ブランドの情報発信を通じて地域資源の活性化を図り、観光資源に結び付けることでまちの魅力向上につなげています。

▼丹那盆地
市街地から熱海市に向かう途中に広がる、自然と酪農が調和した魅力あふれる地域。周囲を山々に囲まれた穏やかな盆地内は信号一つなく、静けさの中でゆったりとした時間が流れる情景も魅力です。
昭和9年に開通した東海道本線の丹那トンネル(三島―熱海間)は難工事として知られていますが、この丹那盆地の地下に丹那トンネルが通っているということはあまり知られていません。
盆地内には、第3セクターとして整備された、酪農振興のための体験型施設「酪農王国オラッチェ」があります。動物とのふれあいやバターづくりなどの体験を通じ、酪農の魅力を身近に感じることができます。丹那牛乳を使用した乳製品や加工品の販売も行われ、地域資源の活用と地産地消の拠点としての役割も担っています。
また、隣接する別荘地には、この豊かな自然環境と首都圏へのアクセスの良さを求める移住相談が年々増加しています。働き方の変化によりテレワークが広がり、ゆとりある暮らしと仕事を両立できる環境が、このエリアの選ばれる理由の一つです。
▼伊豆ゲートウェイ函南
地域資源を活かした交流拠点として人気を集めているのが、「道の駅・川の駅 伊豆ゲートウェイ函南」を中心としたエリアです。伊豆ゲートウェイ函南は、PFI手法を活用して平成29年に供用開始した施設で、伊豆縦貫自動車道のICに隣接し、多くの来訪者を迎え入れる玄関口となっています。道の駅は、防災機能を充実させた観光施設で、伊豆の情報発信拠点として観光案内機能を担うとともに、地場産品の販売やさまざまなイベントを通じて地域の魅力を発信しています。近隣の商業施設との相乗効果により、平日も含め多くの来訪者で賑わい、年間約210万人が訪れる場となっています。また、川の駅は、アウトドア体験や防災学習など、多様な機能を持つ複合拠点となっています。こうした取組は、単なる観光施設にとどまらず、交流人口・関係人口の創出に大きな役割を果たしています。

▼かんなみ猫おどり
函南といえば、奇祭で有名な猫おどり。近年では、町の一大イベントであるこの「かんなみ猫おどり」も川の駅で開催しています。
「言葉を話す猫たちが笛を吹いて踊っていた」という民話が丹那盆地周辺で伝えられ、この伝承を元に、町おこしの一環として始まったのが「かんなみ猫おどり」です。お祭り当日は、こどもから大人まで、猫メイクやコスプレで猫になりきって踊ります。
町内に複数の河川が流れる地形的な特性から、台風や大雨の際には山間部に降った雨が一気に平地へと流れ込み、これまで幾度も水害に見舞われてきました。過去の被害を教訓に、治水対策にも重点を置き、河川改修や排水機場の整備・機能強化を重点的に進めています。現在、機場の操作は地元消防団や地域住民が担っていますが、急激に水位が上昇した際には危険が伴うことから、国・県と連携し遠隔化の導入に向けて取り組み、安全性の向上と迅速な対応体制の確立を図っています。

安心してこどもを産み育てられる環境づくりとして、地域ぐるみの子育て支援に取り組んでいます。その中心施設となるのが、子育て交流センターと図書館の複合施設である「かんなみ知恵の和館」です。
図書館では、こども図書館の設置や大型紙芝居をはじめとするこども向けサービスを充実させ、子育て交流センターは、赤ちゃんからお年寄りまでが気軽に集い、交流や相談ができる場所として町内外の多くの家庭に利用されています。
また、家庭を訪問して寄り添いながら支援を行う“ホームスタート”や、地域の会員が育児の手助けを行う“ファミリー・サポート”の仕組みを整え、日頃のちょっとした困りごとにも対応できる体制を整えています。こうした支援の積み重ねにより、子育て世帯が孤立することなく、安心してこどもを産み育てられる環境づくりを進めています。
▼「読書のまち」・「スポーツのまち」宣言
町民の心と体の健やかな成長を支えるため、「読書のまち」「スポーツのまち」を掲げた取組を行っています。
スポーツに関しては、スポーツチームとの連携により、こども達がトップレベルのプレーを間近に感じられる機会の創出に努めています。身近なスポーツ選手の存在は、こども達の強い憧れや目標となり、地元への愛着の醸成にもつながっています。
町制施行60周年記念事業では、函南町出身の内田篤人さんをゲストに迎え、サッカー教室を開催しました。第一線で活躍した選手とのふれあいは、こども達にとって大きな刺激となり、心に残るかけがえのない思い出となりました。

東海道の道中であったことから、多くの遺跡や歴史文化が育まれてきました。国指定重要文化財である「阿弥陀三尊像」などを展示する「かんなみ仏の里美術館」や、国指定史跡で古墳時代の横穴墓である「柏谷横穴群」、国指定天然物である北伊豆地震の時に活動した「丹那断層」などの史跡が点在しています。
また、古くから湯治の場として親しまれてきた畑毛温泉は、その効能の高さから国民保養温泉地に指定されています。畑毛温泉をより身近に感じてもらえるよう町内に温泉スタンドを設置しているほか、健康増進施設「湯~トピアかんなみ」を整備し、温泉を活用した健康づくりを行っています。
このように、“伊豆の玄関口”という恵まれた立地のもと、自然の豊かさや多彩な地域資源を活用しながら、第六次函南町総合計画に掲げた「環境・健康・交流都市 函南~住んでよし 訪れてよし 函南町~」を基本理念としたまちづくりを進めてきました。今年度は、10年にわたる第六次函南町総合計画の最終年度となり、次期総合計画の策定の年度にもなります。
引き続き、住む人にも訪れる人にも愛されるまちとなるよう、この地で育まれた文化や人の温かさを大切にしながら、町民が主役のまちづくりをめざしていきます。
そして、伊豆への単なる通過点ではなく、目的地としてお越しいただけるよう、さらなる交流人口・関係人口の拡大を図っていきます。